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耳鳴り 今では治る病気へ 川崎医科大学総合医療センターの秋定健副院長に聞く

3/17(火) 12:14配信

山陽新聞デジタル

 実際には音はしていないのに「キーン」「ザー」などと頭の中で響き続ける耳鳴り。一日中気になってイライラが募ったり、長期にわたって精神的な苦痛を感じている人は少なくない。なのに、その苦しみは他人にはなかなか分かってもらえず、医療機関を受診しても「原因不明」とされ、十分な治療が受けられないことも少なくなかった。しかし、近年になって発生のメカニズムに対する研究が進み、TRT(耳鳴り再訓練療法)といった新たな治療法も開発され、症状改善への期待が膨らんでいる。

 「耳鳴りがつらいのは、一日中鳴りやまないこと。うつ状態になって『絶望的な気持ちになる』『死んでしまいたい』と漏らす患者さんは少なくありません」

 川崎医科大学総合医療センター(岡山市北区中山下)耳鼻咽喉科の秋定健部長はそう話す。日本聴覚医学会の「耳鳴診療ガイドライン」によると、耳鳴りの有病率は10~15%。そのうち生活に支障があって治療が必要なのは20%で、国民の約300万人が耳鳴りによる苦痛を訴えている。

 同センターは患者の要望に応えようと、2011年6月に専門外来「補聴器・耳鳴り外来」を開設。以降、延べ約1万3千人の患者の治療に携わってきた。毎週木曜の診療日には岡山県内外から50人前後が訪れる。その症状はさまざまだが、深刻なケースでは、工事現場や運転中のトラックの騒音と同程度と考えられる耳鳴りもあるという。

■脳の過剰反応

 秋定部長によると、耳鳴りの最も大きな要因は「加齢」だという。程度の差はあるが難聴を伴っているため、患者のほとんどは音を聞く仕組みに問題がある内耳性の耳鳴りだ。内耳の中にあって音を電気信号に変える蝸牛(かぎゅう)、蝸牛から脳につながる神経経路、脳の聴覚中枢、この3段階のいずれかに異常があって耳鳴りは起きている。

 その発生メカニズムは、現在「中枢発生説」が主流となっている。難聴などのため音が聞こえにくくなると、聴神経を伝わる音声の電気信号も少なくなり、それを補おうと脳の聴覚中枢が過度に反応する。「『音が入って来ない』『どうしたんだ』と、いわば脳が危険信号を発している。それが耳鳴りになっている」。秋定部長は患者にそう説明している。

 つまり、ストレス状態にある脳の過剰反応が作り出しているのが耳鳴りだ。気になるがゆえに大きく聞こえ、不快感や不安感を募らせることで、さらに大きく感じてしまうという悪循環に陥っている。

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最終更新:3/17(火) 12:14
山陽新聞デジタル

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