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『羊たちの沈黙』ジョディ・フォスターとジョナサン・デミが作り上げた、新たな女性像

3/18(水) 17:03配信

CINEMORE

シリアルキラー映画には興味がなかったジョナサン・デミ

 アメリカのCBSテレビでは「クラリス」というシリーズの製作が予定されているという。タイトルからも予測できるように、『羊たちの沈黙』(91)の番外編的な内容で、映画ではジョディ・フォスターが演じていたクラリスFBI捜査官の活躍を描く。

『羊たちの沈黙』の続編『ハンニバル』(01)では10年後のクラリスが描かれ、ジュリアン・ムーアがクラリスに扮していたが、このシリーズでは『羊たちの沈黙』の1年後という設定で、クラリスの空白の時間が明かされるようだ。主演はオーストラリア出身のレベッカ・ブリーズに決まっている。

 同じくテレビ・シリーズの『ハンニバル』ではマッツ・ミケルセンが、『羊たちの沈黙』に登場したレクター博士の若き日の姿を怪演していた。

 『羊たちの沈黙』の製作から30年近い年月が経過しているが、今もこうした番組が作られるほど、その人気は根強いようだ。90年代にこの映画が作られることで、シリアルキラー映画がブームとなり、その後は『セブン』(95)のような傑作も登場した。

 また、『羊たちの沈黙』はその年のアカデミー賞の作品賞、監督賞(ジョナサン・デミ)、脚色賞(テッド・タリー)、主演男優賞(アンソニー・ホプキンス)、主演女優賞(ジョディ・フォスター)の主要5部門も獲得。当時としては、こうしたダークなトーンのミステリーがオスカーを受賞することは珍しく、多くの人を驚かせた。

 今ではミステリーの古典となった作品だが、最初に監督予定だったのはジョナサン・デミではなく、ハリウッドの演技派男優、ジーン・ハックマンだった。トマス・ハリスの原作権を獲得し、自身の監督・出演作と考えていた(演じる予定だったのはFBIのクロフォード役)。しかし、テッド・タリーの脚本があまりにも暴力的という理由で、ハックマンはこの企画を降りてしまった。

 そこで製作のオライオン映画が目をつけたのが、インディペンデント映画界の個性派監督のジョナサン・デミだった。デミはこの企画のオファーがあった時のことをこう振り返っている。

 「当時、シリアルキラーの映画を作ることに対して反発さえも感じていた。“そういう映画を作りたいだろうか”いや、それ以前に“そんな映画を見たいだろうか?”と自問したものだ。ところが、オライオンが送ってきた原作本を読んでみると、すごく奥行きのある人物描写ができる題材で、物語も複雑で興味深いことが分かって、この企画に乗ることにした」(“Film Comment”91年1&2月号より)

 監督自身の興味をひいたのはシリアルキラーというジャンルではなく、キャラクターや物語だった。

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最終更新:3/18(水) 17:03
CINEMORE

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