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ユン検察総長の義母、4年前の「虚偽残高証明書」処罰の可能性を知っていた

3/19(木) 17:33配信

ハンギョレ新聞

不動産詐欺事件、膨らむ疑問 同業者を通して城南・加平などの不動産に投資 義母の名義など300億ウォン台の虚偽残高を活用 「同業者がやらせたこと」 法的責任免れる 検察、同業者だけ詐欺容疑で起訴・実刑 「検察、私文書偽造を知っていながら捜査せず」 経営権紛争の陳情で事件が再燃 当時の検察処分・遅れた捜査をめぐり批判広がる ユン総長が捜査に介入したかどうかは確認されず

 ユン・ソクヨル検察総長の義母のC氏(74)が不動産投資の過程で虚偽の残高証明書を作った事実を認め、「偽の残高証明書を作れば処罰される可能性があることを知っていた」と法廷で証言していたことが確認された。にもかかわらず、C氏は私文書偽造の疑いに対する処罰を受けていない。事件発生から6年後の昨年10月に私文書偽造事件を担当した議政府(ウィジョンブ)地検は、最近のマスコミの報道で波紋が広がった後になって被害者とC氏の同業者らを召喚して調べている。

■「349億残高証明書」偽造事件とは?
 18日、C氏が同業者のA氏(60)を詐欺の疑いで告訴した事件の一審~三審の判決文によると、2013年、C氏はA氏の提案で不動産に共同投資することにし、京畿道城南市道村洞(ソンナムシ・トチョンドン)の土地(55万平方メートル)と京畿道加平(カピョン)の療養病院、京畿道坡州市(パジュシ)の建物と敷地などに投資を行った。A氏は「韓国資産管理公社(KAMCO)に知人がいる」と言って関心を引き、信託会社から公買した不動産情報などを提供した。C氏は不動産転売で利益を上げることができるというA氏の話を聞き、C氏は資金を調達してA氏に渡した。

 この過程で、C氏が娘のキム・ゴンヒ氏の会社の監査役だった知人のK氏に作らせた新安貯蓄銀行の虚偽の残高証明書4枚が活用された。金額では349億ウォン(約30億円)になり、3枚は預金者がC氏となっていた。虚偽の残高証明書は、道村洞の土地の残金入金の日付を遅らせたり、融資者を募集するためなどに活用された。金を貸したI氏は「C氏が発行した残高証明書と当座小切手を信じて、A氏を通じて16億ウォン(約1.4億円)を貸したが、返してもらえなかった。虚偽という事実を後から知った」として、ソウル中央地裁で貸与金返還請求民事訴訟を進めている。C氏は道村洞の土地を買収したが、A氏が契約金などを横領したとして、A氏を詐欺の疑いで告訴した。検察はA氏を拘束起訴し、最高裁(大法院)は2017年10月、A氏に懲役2年6カ月を確定した。

 C氏は、A氏とは同業関係ではなく自分は被害者だと主張しているが、裁判の過程で自分の犯罪の疑いが明らかになった。2016年12月のA氏の二審裁判の証人尋問の録音記録によると、A氏の弁護人は証人として出席したC氏に「300億ウォンの残高証明書4枚を虚偽で作成したら処罰されるということは知っていましたか?」と尋ね、C氏は「はい」と答えた。これに先立ち、同年4月に開かれた一審の裁判中にも、A氏の弁護人が残高証明書を指して「これはすべて虚偽でしょう?」と尋ねると、A氏は「はい」と答えた。虚偽の残高証明書を作ったK氏も、A氏の二審裁判に証人として出席し、本人も気が向かなかったがC氏の依頼で残高証明書を偽造したと証言した。

 ただ、C氏はA氏が先に残高証明を要求し、自分は「偽物なら大変なことになるのではないか」とA氏に話したと主張した。「A氏にやらされたこと」ということだ。一方、A氏は2015年6月、金融監督院に残高証明書の真偽を確認したことを根拠に、自分は最初から知らなかったと反論した。当時A氏事件の起訴と公判を担当した検事は、C氏に対する法的責任を問わず、A氏だけを詐欺の疑いで起訴して事件を終わらせた。当時の検察の判断の根拠を問う質問に、最高検察庁は18日、「法と原則に則って処理したものであり、事件の具体的な内容に一つひとつ答えるのは難しい」と返答した。

■検察の処分は正しかったか
 この事件は、追悼公園施工会社の経営権を巡ってC氏側と紛争中のノ・ドクポン氏が昨年9月、法務部法務・検察改革委員会に陳情書を提出したことで再び浮上した。C氏の私文書偽造を検察が知っていながら捜査しなかったという趣旨だ。最高検は昨年10月、議政府地検刑事1部(チョン・ヒョサム部長)にこの事件を担当させることを決めた。

 議政府地検は5カ月間、これといった捜査を行わなかったが、最近「文化放送」(MBC)の「探査企画ストレート」で報道され波紋が広がると、A氏や他の被害者らを呼び出している。検察はC氏に18日に検察に出頭し、調査を受けるように伝えたとされるが、この日C氏は検察庁に現われなかった。

 法曹界の意見は分かれる。ある弁護士は「告訴当事者でも不法行為が発見されれば起訴猶予くらいにはしなければならなかった」とし、「そうしなかった内情をよく調べるべきだ」と述べた。起訴猶予は、犯罪事実はあるが検事が様々な状況を考慮して起訴しないことを意味する。ある検事長出身の弁護士は「告訴人の犯罪事案が大きければ起訴猶予などをし得るが、必ずしも(起訴猶予を)すべきだったとは言えない。そうすると被害を受けても処罰が怖くて告訴できなくなるケースが生じる」と述べた。

■ユン総長の関与がカギ
 問題は、ユン総長が義母の告訴やA氏に対する検察捜査に関与したかどうかだ。捜査や裁判が行われた2014~16年は、ユン総長が「国家情報院コメント捜査」に対する外圧を暴露し、大邱(テグ)高検と大田(テジョン)高検に左遷されていた時だ。C氏は「検事の婿」の存在を誇示していたという話もあるが、まだユン総長の関連性は確認されていない。ユン総長は人事聴聞会とマスコミ報道を通じて批判が起きるたびに、「義母関連の事件に答えるのは適切ではない」という立場を示してきた。最近、議政府地検の「遅れた捜査」疑惑についても、最高検察庁は「義母関連の捜査は報告を受けていない」と明らかにした。

 今回の事件が議論を呼んでいる部分は他にもある。チョ・グク前法務部長官とその家族に対して厳正な捜査をしたユン総長が、本人の親戚・姻戚が関連した事件には相反する態度を示しているのではないかということだ。一番最初に作成された残高証明書作成日の2013年4月1日を基準にした場合、今月31日で公訴時効(7年)が完成する。チョ前長官の夫人のチョン・ギョンシム東洋大学教授の表彰状偽造事件で、検察が公訴時効を理由に調査なしで電撃的に起訴したことと比較される。

 一方、ソウル中央地検は2000年代初めからC氏と訴訟を繰り広げてきたチョン・デテク氏の告訴・告発事件を刑事1部(部長チョン・ジヌン)に担当させた。チョン氏はC氏を訴訟詐欺・虚偽告訴(誣告)・私文書偽造罪などで、ユン総長の妻のキム・ゴンヒ氏を訴訟詐欺・有価証券偽造罪などで告訴・告発し、ユン総長を職権乱用・職務遺棄の疑いなどで告発した。

チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:3/19(木) 17:33
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