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<天満屋・武冨豊監督に聞く(上)>経験生かし全力で支える MGC、ハイペースに前田V確信

3/21(土) 11:03配信

佐賀新聞

 昨年9月の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で、天満屋(岡山)の前田穂南(23)が2時間25分15秒で優勝し、東京五輪の出場権をつかんだ。指導するのは多久市出身の武冨豊監督(66)。2000年のシドニーを皮切りに、五輪の女子マラソンに代表選手を送り出すのは今回で5度目となる。国内を代表する名伯楽に、選手育成や五輪に懸ける思いを聞いた。

 ■MGCでは前田穂南が20キロ付近で抜け出し、2位以下に大差を付けて快勝した。

 スローペースになったら自分の力を発揮できない可能性があるので、速いペースになってほしいと考えていた。最初から1人で行くレースはさせたくなかった。スタートしたらワコールの一山(麻緒)さんが(ハイペースで)先頭で行きだしたので、「これでたぶん勝てるだろうな」と思った。「あそこ(20キロ付近)で行け」と指示したわけではないし、本人もスパートした感じではなく自然に1人で行ったと言っていた。

 ■東京五輪の出場権をつかんだ気持ちは。

 (16年の)リオの時に4大会続いていたオリンピックの出場が途切れた。今回だけは外してはダメだと思っていた。前田に関しては練習の中で、代表は取れるだろうなという手応えをつかんでいた。30キロくらいになって「もう大丈夫だ」とほっとした気持ちになった。(MGC3位の)小原(怜)は、リオの代表選考会で1秒差で代表を逃した。その悔しさがあったので彼女にも何とか代表をつかんでほしかった。

 ■前田はどんな選手なのか。

 最初は「こんな細い子が本当に大丈夫かな」というのが正直な感想だった。スレンダーで手足が長く、それまでにはいないタイプだった。ただ最初の1カ月くらいで、「この子は本当に走るのが好きで意志が強い子だな」というイメージになった。これだけやるんだったら、おもしろいし、可能性があると感じた。本人は入社の時から東京五輪を目指していた。1年目の夏すぎくらいには、五輪に向けてどの大会に出て、選考会、本番へ行こうというロードマップもつくれていた。

 ■五輪本番に向けた調整の状況は。

 2月に青梅で30キロの日本記録を更新した。これまで順調にきている。少し休ませ、3月から東京に向けてやっていこうと取り組んでいる。練習から100%に近いくらいできる子なので、体重をこれ以上落とさないように気をつけて、練習の頻度はこれから少し変えなければいけないと思っている。あんまり減らすと本人が不安になるのでその辺が難しい。

 ■MGC後に本番コースが急きょ北海道に変更になった。新型コロナウイルスの感染拡大が五輪にも影響を与えている。

 東京のコースをイメージして練習を積んできた。「国立競技場でゴールさせたい」という思いは今でもある。ただ変わった以上はそこに向けてやっていくしかない。コロナは本当に予期しないことで頭が痛い。アメリカ合宿を予定しているが、入国拒否といったことも考えられる。予定通りに練習できるかできないかで選手も不安になる部分も出てくるだろう。

 自分ができることは、とにかく選手を支えること。そこに全力を尽くす。今までの経験を生かして、できるだけ緊張感を与えないように、自分の力を出し切れるような状況をつくってあげたい。

 ■前田が世界と戦うために必要なことは。

 明らかに現時点で世界との力の差はある。まずは彼女の目指すタイムを堂々とたたき出してほしい。シドニーやアテネの時に比べるとアフリカ勢が台頭してきて、レベルもタイムもどんどん上がってきている。当時より状況ははるかに厳しい。でもそれで諦めていたらいけない。こういう時こそチャンスがあると思ってやっていく。

 たけとみ・ゆたか 多久市出身。多久北部小、多久北部中、多久工業高を経て、神戸製鋼陸上部で中心選手として活躍した。1985年の別府大分毎日マラソンで優勝、現役時代のマラソン自己ベストは2時間11分27秒。1992年に天満屋にヘッドコーチとして入社し、96年に監督に就任した。2013年に総監督となり、17年から再び監督。五輪では00年のシドニーから12年のロンドン大会まで4大会連続で女子マラソン日本代表を輩出した。東京大会では前田穂南とともに5度目の五輪に挑む。66歳。

最終更新:3/21(土) 11:03
佐賀新聞

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