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<東京2020>被災者の笑顔願い空舞う 山田出身、空自松島基地・佐藤貴宏1等空尉 ブルーインパルス、聖火到着祝う /岩手

3/22(日) 10:52配信

東京2020報道特集 オリンピック聖火リレー

 東京オリンピックの聖火が宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に到着した20日、現地の空を同基地所属のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が舞った。パイロットの中には、東日本大震災で甚大な被害を受けた山田町で生まれ育った佐藤貴宏1等空尉(34)もいた。「復興五輪」を彩る聖火到着式で、佐藤さんは「被災した人々に笑顔になってほしい」と願いながら空を飛んだ。【滝沢一誠】

 聖火到着式の途中の午前11時40分ごろ、ブルーインパルス6機の空中飛行が始まった。佐藤さんが操縦する6番機も空を舞い、5色のラインのうち黄色の線を描いた。

 2011年3月11日、故郷を津波が襲った時は、奈良市の航空自衛隊幹部候補生学校で卒業式を翌日に控えていた。両親は山田町から転居していたため無事だったが、津波で小中学校の同級生を亡くし、母親の実家も流された。

 同年8月に初任地の千歳基地(北海道千歳市)に配属。「タックネーム」と呼ばれる空自パイロットに付けられる愛称は、出身地にちなみ「リアス」に決まった。17年8月に松島基地に入り、ブルーインパルスの一員となった。

 19年9月25日、釜石市の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムでラグビー・ワールドカップの試合が行われ、ブルーインパルスが釜石の空を舞った。佐藤さんが待機中に上空を旋回していると、近隣の山田町がふと目に入った。故郷の街並みを上空から見て「感動しつつも、変な感覚だった」と振り返る。「更地もあって、幼少期に育った街並みとは全然違った。まだ完全には復興していない」と痛感した。

 聖火が到着した東松島市も震災で大きな被害を受けた。飛行前に「歴史的なイベントに花を添えられるよう、いいパフォーマンスをしたい」と力強く話した佐藤さん。被災地出身のパイロットとして、「同じく被災した人たちが前向きに、笑顔になってほしい」との思いを込めて飛行を届けた。

 聖火は「復興の火」として被災3県で巡回展示される。岩手では22、23の両日にお披露目され、聖火リレーは26日に福島県からスタートする。

毎日新聞

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