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【点描・永田町】河井夫妻「進退」が政局の火種に

3/22(日) 19:04配信

時事通信

 新型コロナウイルスの感染拡大で安倍晋三首相が苦闘する中、広島地方検察庁が河井案里自民党参院議員の公設秘書らを公職選挙法違反容疑で逮捕したことで、同議員とその夫で選挙の司令塔だったとされる河井克行前法相の出処進退が、首相の政局運営の大きな火種になりそうだ。広島地検は3月下旬にも被疑者の公設秘書らを起訴する方針とみられるが、その段階で案里氏や克行氏の関与が濃厚となれば、野党側が両氏に議員辞職を迫るのは間違いないからだ。

  広島地検特別刑事部は3月3日、昨年7月の参院選での公選法違反(運動員買収)容疑で、広島選挙区(定数2)で当選した案里参院議員の公設秘書や克行前法相の政策秘書ら3人を逮捕した。昨年7月の参院選で車上運動員に法定上限を超える報酬を支払ったというもので、地検は河井夫妻の議員事務所も捜索した上で、関与の有無について夫妻に対し任意での事情聴取を進めているもようだ。

  政治家が絡んだ公選法違反事件では、買収の罪で秘書らの有罪が確定した場合、候補者本人が関与していなくても当選無効となる「連座制」が適用される規定がある。このため、逮捕された公設秘書が起訴され、裁判で有罪が確定した場合、案里氏が失職に追い込まれる可能性が大きい。公選法違反事件は「百日裁判」が通例とされ、3月下旬起訴となれば、初秋までには判決が出て、有罪なら司法当局が案里氏の失職の可否を判断する。さらに、起訴や公判で「選挙の司令塔」とみられている夫の克行氏の関与を広島地検が認定した場合は、同氏の政治責任も厳しく問われることになる。

10月補選なら解散時期とも絡む

 そこで問題となるのが、河井夫妻の政治家としての責任の取り方だ。案里氏については、過去の例からみて、公設秘書の起訴か有罪確定の時点での議員辞職か、連座制適用での失職が選択肢となる。また克行氏についても、政策秘書の起訴か有罪が確定した時点で、議員辞職問題が浮上するのは確実。もちろん、今後の捜査の結果、広島地検が夫妻あるいはどちらかの容疑を固めて、逮捕(国会の許諾が前提)あるいは在宅起訴した場合は、安倍政権への大きな打撃ともなるため、その時点で政府与党内に議員辞職論が高まることも想定される。

  議員辞職の場合は、衆参とも当該選挙区で補欠選挙実施となる。仮に案里氏が3月15日までに辞職した場合、統一補選の規定で参院広島選挙区の投開票は4月26日。ただ、昨年の参院選の「1票の格差」訴訟が継続している間は公選法の規定で補選は実施できないため、案里氏に関しては、最終的にはどの時点で議員辞職しても補選は10月25日投開票となる可能性が大きいとみられている。

 そもそも、案里氏は広島選挙区での自民2人目の候補として、首相や菅義偉官房長官の手厚い支援を受けて当選、そのあおりで落選したのが同区当選5回で岸田派重鎮の溝手顕正元参院議員会長だ。しかも、自民党本部から両氏陣営に振り込まれた選挙資金が案里氏1億5000万円、溝手氏1500万円だったことが判明し、党内から「あまりに露骨なえこひいき」(閣僚経験者)との批判が噴出した。 それだけに、河井夫妻の進退は首相にとって頭痛の種だ。「首相が『政治家個人の判断』と放置すれば、与党内からの批判も避けられない」(自民長老)からだ。しかも、10月補選なら、首相も視野に入れているとされる今秋衆院解散の断行時期とも絡む。さらに「自民が負ければ政権を痛撃する」(同)のは確実で、今後の首相の政局運営の大きな“足かせ”となるのは間違いなさそうだ。【政治ジャーナリスト・泉 宏】

最終更新:3/22(日) 19:04
時事通信

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