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感染症予防「飽き」は危険、感染拡大は続いている

3/23(月) 10:02配信

ニュースソクラ

【医学者の眼】過剰反応せず、できる対策は怠らず

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題は連日報道で取り上げられ、そろそろ食傷気味で見る気がしないという人も出てきています。なかには、露骨に対策を無視するというような人すらいます。

 しかし、実際現在どういう状況にあるのかは、必ずしも客観的に把握されていないのではないでしょうか。時々刻々変化するこの問題は、マスコミや政府などの発表だけを時々聞いていてもすぐ変わってしまい、新たな局面を迎えて変化について行けなくなり、見通しを誤る結果にもなってしまいます。

 そこでWHOの統計データを御紹介します。
 https://experience.arcgis.com/experience/685d0ace521648f8a5beeeee1b9125cd

 WHOのダッシュボード(一覧データ集)は、国別の感染者数を世界地図に落として丸の大きさで表現しており、当初はこれだけだったのですが、最近改良され世界全体及び各国の状況と推移が国別にグラフで表示できるようになりました。

 WHOに先行していたのは米国ジョンス・ホプキンス大学がまとめている統計ダッシュボード(一覧データ集)です。
 
 世界中のデータをWHO等とも連携、収集し世界地図に落とし、丸の大きさで広がり具合(感染者数)を示しており、時々刻々アップデートしています。また、中国および中国以外の感染者数、回復者数の時間変化のグラフを示し動向が見て取れるようになっています。
 
 医学関係者は先行していたジョンス・ホプキンスの表示を見ている人が多いようです。WHOは公的機関ゆえか、数字が1,2日遅れているようですが、ジョンス・ホプキンスは会員登録が必要なのでWHOの方が簡便な面もあります。

 これらに収録されている国別の感染数のグラフを見ていると、中国と韓国(および台湾)がようやく抑制ができるようになってきた外は、欧米先進国を含め、その他の国は全て今まさに急増(指数関数的増加)期にあることが良く分かります。

 まだ、飽きたから予防策を怠っていいといえるような状況ではまったくないのです。

 さて、日本についてはどうかということが、最も気になるところです。

 この点は残念ながら政府や自治体では詳細な分かり易い表示は、まだなされていません。様々な行政的対応に追われて、手が回らないのでしょうか。

 一方、日本にはそういうものはないのかと思っていたところ、「東洋経済オンライン」が、統計ダッシュボードを提供してくれていました。

 これは、日本の厚労省など各分野からの提供データに基づいて、都道府県別患者・感染者数だけでなく検査状況の推移なども逐次表示してくれており、我が国の状況を理解する上で参考になります。

 グラフや報道などからわかる総括的な私見を若干述べてみたいと思います。

 ・世界的には中国、韓国(及び台湾)を除いて、ほぼ例外なく各国が今(2020年3月21日)まさに感染爆発、急増期であること。
 ・世界レベルの感染者規模は中国をはるかにしのぐレベルになることは間違いないこと。
 ・世界と言っても各国で感染の広がり等の時間差があり、最盛期、終息に至る時期にもかなりの違いがあると思われること。
 ・日本も含め、検査体制の違いが数値に大きく影響を及ぼしていると思われること。
 ・米国や欧州の状況からは、各国の移動規制等の対策がどこまで有効かは不明であること。(一方で、経済社会影響は確実に深刻化していること。)
 ・医療体制が進歩したとはいえ、各国でそれを上回る患者、重症者の発生が想定されること。
 ・結果的に1918年から、世界人口の約3割が感染し数千万人が死亡したスペイン風邪に近いレベルの患者、死者が発生する可能性を指摘する専門家もいて、否定できないこと。

 今後の展開は予断を許しませんが、危ないと言って常に閉じこもっていては、生活が崩壊し、結果的に我々の生命も保てません。その意味では、一律の外出禁止令、渡航禁止、さらに発症していない入国者に長期間の隔離を強いるなどはやや過剰な規制と言えなくもないでしょう。

 とはいえ、治療法とワクチンなどの予防法が確立されておらず、季節性のインフルエンザに比べると致死率も十倍以上も高いことを考えると、甘くみることができないことは明らかです。

 当面我々は、現在の状況をよく理解し、手洗いの励行、人との距離をとり、人混みはできる限り避けるなど賢明に対応する必要があります。そうすることが、経済停滞をできる限り避けながら、COVID-19の終焉を迎えることにつながるのではないでしょうか。

■中島 正治(医師、元厚労省局長)
1951年生。76年東大医学部卒。外科診療、医用工学研究を経て、86年厚生省入省。医政局医事課長、大臣官房審議官(医政局、保険局)、健康局長で06年退官。同年、社会保険診療報酬支払基金理事、12年3月まで同特別医療顧問。診療、研究ばかりか行政の経験がある医師はめずらしい。

最終更新:3/23(月) 10:02
ニュースソクラ

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