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『エール』スタート直前! 朝ドラ初出演から10年経って窪田正孝が実感した、主役という重み

3/25(水) 8:01配信

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春の訪れとともに、連続テレビ小説=朝ドラ『エール』のスタートもいよいよ目前に。今作は、「栄冠は君に輝く」や「六甲おろし」といった応援歌をはじめ、ヒット曲や校歌、社歌などにいたるまで、生涯で5,000曲以上を作曲した古関裕而・金子夫妻をモデルに、音楽とともに人生を歩んだ夫婦を描いていく物語だ。これまで『半分、青い。』、『なつぞら』と朝ドラを掘り下げてきたWHAT’s IN? tokyoは、今季も放送開始からラストまで『エール』を追いかけ、キャストや関係者のインタビューなど、読み応えのある特集を展開する。

【写真】朝ドラ『エール』主演・窪田正孝さんの撮り下ろしショット

記念すべき第1回は、主演の窪田正孝が登場! 初の朝ドラ出演作『ゲゲゲの女房』から10年、『花子とアン』を挟んで“三作目の正直”で主演を務めている現在の心境を、細やかに語ってもらった。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 荻原大志

◆現場では「自由に、面白い作品をつくろう!」という心意気をすごく感じるので、お茶の間にも届けばいいなと思っています。

ーー 『エール』の放送開始まで、あとわずかとなりました。WHAT’s IN? tokyoでは、半年に渡って『エール』の特集を組んでいきまして…その一番手として、窪田さんにご登場いただきます。

ありがとうございます。しかし、僕なんかが最初でいいんですかね!?

ーー なっ…!? いえ、主演の窪田さんにまずご登場いただかないと!

いやいや、真面目な話、主人公をずっと追っていくストーリーというのが朝ドラの定番になっていますけど、『エール』は結構いろいろと新しい試みを採りいれていて。詳しくは伏せますけど…「あれ、(窪田演じる古山)裕一はいつ出てくるんだ?」と思われるような週もあるんですよ。なので、宣伝も変化球の方がいいのかな、なんて(笑)。演出の吉田(照幸)さんがまた…いや、こういうと語弊があるかもしれないですけど、NHKの人っぽくないので、撮影していてめちゃくちゃ楽しいんですよ。頭の回転もすごく速い方でいらっしゃるので、現場も自由度や柔軟性がすごく高い印象を受けています。

ーー スタジオでの収録も何度か見学させていただきましたが、本当に風通しがよさそうな雰囲気で。窪田さんと妻・音役の二階堂ふみさんをはじめ、ファミリーな感じが伝わってきました。

ふみちゃんとは、本当にいろいろなことを話していて。「最近食べたもので美味しかったもの」から社会情勢まで、話題が広いから楽しいんですよ。それがモチベーションにもなっていたりもするんですよね。そういう意味では、『エール』の顔はふみちゃんだと僕は思っていますし、彼女が輝ける瞬間というのをたくさん現場でつくれたらいいなと、スタッフのみなさんと力を合わせながら、取り組んでいます。

ーー また、ファミリーという意味では、唐沢寿明さんという窪田さんにとって特別な存在の俳優さんと父子役で再共演できたことも、感慨深いのではないかと思います。

そうですね…僕が『エール』で主役を演じることに決まってから、唐沢さんもスケジュールを空けてくださって、父の三郎さんという役を演じてくださったことには、本当に感謝の二文字しかないです。僕が今こうしているのも、唐沢さんと出会って、ご一緒させていただいたことがすごく大きくて。現場でのたちふるまいだったり、居方だったり、周囲の方々への接し方だったり…全員が気持ちよく撮影に取り組めるように、率先して俳優部が楽しもうという姿勢で臨まれて、そういう空気がスタッフのみなさんに伝播していくさまなど、すごくたくさんのことを学ばせていただきました。その背中を今回も見させてもらっているので、唐沢さんが現場にいらっしゃる時は甘えさせてもらっていて。そこも懐が深いというか、あれほどの大御所であっても、フランクに接することができるのは、それこそ人柄のなせるところだなと思っているんですね。前回、共演させていただいた『THE LAST COP/ラストコップ』の時はラストで義理の父になったんですけど、やっと今回は本当の父子になれたので(笑)、そういう部分でも自分の中では新しい境地に足を踏み入れた気がしています。

ーー 実の父子役ということで、唐沢さん演じられる三郎の姿を、窪田さんは裕一の中に投影していたりもするのでしょうか?

古山家は、みんなすごく真面目な性格なんですけど、各キャラクターの見え方というのはそれぞれに違っているんです。唐沢さんのアプローチのかけ方って、場面や状況によって別人に見えるような瞬間があって──それはお芝居の技術の高さによるものだと思うんですね。しかも、常に僕のことを考えて動いてくれるので、僕が投影するというよりも、唐沢さんの表現によって三郎と裕一が父子に見える瞬間があるんじゃないかな、と。

ーー 期待しております。さて、窪田さんが演じられる主人公・古山裕一は、「栄冠は君に輝く」をはじめ、数々の名曲を生んだ作曲家・古関裕而さんがモデルになっています。その生い立ちから、何かインスパイアされた部分はあるのでしょうか?

いろいろと古関さんのことを見聞きしたんですけど、関わった方や知っている方が誰1人、古関さんのことを悪く言わないんですね。それがすべてかな、と僕は思っていて。そこを役づくりの中でもキモにしているんですけど、媚びを売るというか、誰かに好かれたくて空気を読んで嘘をつく、という瞬間が誰にでも多かれ少なかれある中で、本当に誰のことも憎んだり、怒ったりすることがないらしいんです。瞬間的にそういう感情になったとしても、その後に愛情へと変換させていったような気がしてならなくて。それは裕一を演じていてもすごく感じるんですよね。煙たがられていても、最終的には相手に認めさせる才能があるというか。自分を毛嫌いする人を、音楽の力や人格によって大きく包み込むイメージが古関さんという方にはあるので、そこは最後まで大事にしていきたいですね。

とはいえ、喜怒哀楽がなければドラマにならないですし、実際に演じる中で裕一のズルさと言いますか…可愛がられ方を知っているな、という部分も感じることもあります。「ちょっと過去に言ったことを棚に上げてないか?」みたいなことを、ちょこちょこと(笑)。また、音楽的に天才である一方、人としては不器用というか…自分の世界に入ってしまうと周りが見えなくなってしまうんだな、という部分も、演じていて見えてきました。

ただ、あくまで古関裕而さんと妻の金子さんをモデルに、古山裕一と関内音を僕とふみちゃんが演じているわけで…そこは踏み外しちゃいけないなと。何と言うか…勝手に背中で見守っていただいているような感覚でいるので、台本を読んでいる時点では古関さんのことを考えることはあっても、現場で実際に動いてみてセリフを発してみると、違和感を覚えたりすることもあるわけです。そういう時は現場で起こることや監督の演出を信じて、本番では振り切って芝居をさせてもらっている──という感じですね。

ーー 裕一からは繊細にして情熱家、という印象を受けてもいますが、窪田さんはどう思われていますか?

古関さんご自身も無邪気な方でいらっしゃったと聞いていますけど、撮影がだいぶ進んで大人になってからのパートを演じていても、確かに子どものころから感覚が変わっていない気がするんですよね。古関さんのお人柄と、生涯愛した音楽とが一致しているというか…遺伝子の中に1つに組み込まれているように感じさせてくださる人は、なかなかいらっしゃらないんじゃないかな、と。そうじゃないと、生涯で5,000曲も書けないだろうなって。頭の中がどういう構造だったのか、想像もつかないですけど。

ーー ちなみに、妻・音のモデルである古関金子さんの印象はいかがでしょう?

残っているエピソードを聞くと、古関さんよりも頼もしい印象があります。レコード会社に乗り込んでいって、うちの旦那をナメるんじゃないとばかりに啖呵をきったという話を聞いて、すごい奧さんだなと思いましたね。ただ、いつの時代にも強い女性は必ずいましたし、こういう夫婦が戦前の日本にも実在していたことを知って、金子さんは時代にさきがけていらっしゃったんだなと思ったりもしました。精神的な強さに加えて、自分自身に嘘がつけなかった、まっすぐなお人柄だったと聞いているんですけど、その辺りをふみちゃんが説得力をもって演じてくれているので、僕はスッと受け止めて、横で女傑ぶりを見させてもらっています。

ーー 音とは文通によって心を通い合わせていくわけですが、その辺りについてはどんな思いがありますか?

とても素敵ですよね。自分も中学生のころにちょっとだけ文通をしていたことがあるんですけど、そのころを思い出しました。今はメールやアプリで簡単にやりとりできるから、なおさらロマンチックだなと感じます。音さんから届く手紙も、封筒の縁を赤く塗ってあったり、おしゃれな感じになっていて。金子さんが古関さんに送った手紙にもハートの上に音符が描いてあったり、デザインがほどこされていたらしくて、そこもいいなあって。文章自体は話し言葉じゃなくて、ちょっと厳格な感じの文体なんですけど、紐解いて読んでみると、結構イチャイチャしている内容なんですよ(笑)。照れくさくなっちゃうようなところもあるんですけど、そうやって距離を詰めていくのもいいなと思いました。

ーー その辺りも楽しみですね。では…音楽家の役ということで、楽器の練習などもされたと思いますが、どのような準備をされたのでしょうか?

はい、ハーモニカに始まり、指揮、譜面の書き方、オルガン…と、いろいろやることがありまして、正直すごく大変です。先生方も短時間で教えなければいけなかったので、大変だったのではないかな、と。撮影の合間に“中空き”があると、リハーサル室に行ってハーモニカの先生に習う、みたいな感じだったんですけど、僕が1人でハーモニカを吹くシーンというのは、実際の出音を使ったりもするので、緊張というか…何とも言えない感覚がありました。ただ、演奏もその時の心情によってちょっと音色が変わるので、人生どん底の中で吹くハーモニカが、ちょっと音にならない音になってしまったんです。音楽としては成立していないけれども、「気持ちを表すという意味では成立しているからOKです」と監督が決断されて、本編で使われることになりました。その時に思ったのは、誰かのためにハーモニカを吹けば音色も変わるし、自分の置かれている状況の中で人として揉まれていくと、振る指揮棒の強さだとか身体に入る力も変わってくるんだな、ということです。それは福島ロケでハーモニカに併せて合唱をするシーンでも、演奏会のシーンでも身をもって感じました。

ちなみに、ハーモニカの演奏は難しいので、今はどちらかというと指揮の方が好きだったりします(笑)。プロの方々が演奏されていて、僕の指揮に併せてくださるので、(タクトを)振っていて気持ちいいんですよね。話が進むにつれ、徐々に作曲しているシーンにシフトしていくんですけど、音楽を奏でているわけではないので、それはそれで難しくなりそうだなと思っています。

ーー 作曲家と声楽家、音楽家同士の夫婦というのも興味深いですね。

そうですね、同じ音楽に違う立場から携わってはいるので、お互いにないものを補い合っている関係性は、ある種の理想だなと感じます。この前も、作曲中に夜食を持ってきてくれた音に「ちょっと歌ってみてくれる?」と頼むんですけど、歌ってもらったことによってヒントを得る、というシーンを撮って、素敵だなと思ったんですよね。同業者同士だと深く話せるし、理解し合えるのが強みだなと実感しながら、音とのシーンを演じています。キビキビしていて、迷った時は明確に導いてくれる奧さんですけど、人前に出てわきまえるべき時にはちゃんと下がって、背中から支えてくれてもいて。でも、基本的な関係性として、隣同士で手を繋ぎ合っている。そこがすごく素敵だなと思いますね。ケンカもよくするんですけど、心の中では「この人は怒らせたらいけないな」と思っていて。ふみちゃん演じる音の突き放し方が「もうご飯つくりません、勝手にやってください」って結構辛らつで、ショックだったんですよ。そのシーンの前までラブラブなエピソードを撮っていたので、やっぱり平和が一番だな、と(笑)。

◆『ゲゲゲの女房』から10年、目の前をたくさんの人生が過ぎていく主役という立場の重みを、しっかりと噛みしめたい。

ーー 長期間に渡って1人の人物を演じることは、なかなかないと思います。その渦中にあって、どんなことを感じているのでしょう?

1つの役を深く掘り下げていけるのが、朝ドラの魅力の1つだと思っています。朝ドラを経験された方々にお話を聞いてみたんですけど、たいがいの方が「朝ドラの後は、どの現場も大変じゃないように感じる」と、おっしゃっていて。その感覚はすでに何となくわかるような気がするんですけど(笑)、ひと1人の一生を描けるというのは本当に深くて尊いことだなという思いを、あらためて感じているところがありますね。以前、大河ドラマ(『平清盛』の平重盛役)でも長いスパンで演じたことがあるんですけど、だんだんと役をつくるということを考えなくなっていて、カメラの前に立つとスウッと自然と役に入っていける感覚を覚えた経験をしているんですよ、一度。それだけ時間をかければ、その境地にまで行けるんだなというのを味わっているので、クランクアップした後に自分がどうなっているのかはわからないですけど、きっと達成感に満ちあふれているのだろうなと思います。

ーー なお、思春期から裕一を演じますが、多感な時期をもう一度通ってみて、いかがでしたか?

思春期のころの僕自身はもう少しヤンチャだったんですけど(笑)、裕一くんは口下手でおとなしいなというのが第一印象ですね。ただ、音楽、そして音と出会って上京して、段階を経て変わっていって、自分の気持ちを言えるようになっていくんですけど、そこは年齢に応じて変化をつけていければ、と。自分の実年齢よりも上になった時、ひと目見ただけで大人になっているとわかるように、個人的に尊敬している方々をイメージしながら──と考えていたりもするんですけど、古関さんご自身が年齢を重ねても、そんなに見た目が変わっていなかったので、無理に気負わなくてもいいのかな…と思ったりもしていて(笑)。老けメイクや衣装の力なども借りつつ、「言っていることが古くさい」と思われるような愛嬌のあるイイおじさんになっていられたらいいな、と思っています。

ーー それから、朝ドラというと「ご当地の方言」でのセリフが特徴でもあります。裕一は福島の人なので、特に前半は福島弁で話すことも多いと思いますが、ご苦労などは?

最近は方言指導の先生から、あまり直されなくなりました。以前もいろいろな方言でお芝居をしているんですけど、福島弁が自分史上、もっとも方言指導をされずにお芝居できているんじゃないかと感じてます(笑)。自然と小さな「ッ」を抜いたり、だんだんポイントがわかってきた気がするんですよね。話していても愛嬌があるなと感じる方言で、福島弁を聞いているだけでほっこりしたり、愛くるしくなる印象があって、鉄男役の中村 蒼くんと福島の言葉で話したりすると、序盤の“福島編”でのことを自然と思い出すようなことがあります。ちょっと語尾に行くほど音程が上がっていく感じなんですけど、古山家の中でも、唐沢さんの話す福島弁はまた色が違っていて、母親のまささん役の菊池(桃子)さんもまたトーンが違っていて、それも楽しいんですよね。音楽を聴いているような感じに近いのかもしれないです。

音楽と言えば…演奏シーンのテストの時とか、カメラマンさんがメロディーに合わせて身体を揺らしていらっしゃったりして、見ていて何かいいなぁと思ったりもします。そういうところで一体感があるのは、『エール』の現場ならではなのかな、と。

ーー ちなみに、現場のムードメーカーというと…?

誰だろう、普段はふみちゃんかなぁ。いつでも笑っていますし。でも、三郎さんとのシーンがある日は、圧倒的に唐沢さんですね(笑)。あと、裕一が一度就職する「川俣銀行」編では、相島一之さんに松尾 諭さん…銀行員役のみなさんがまさにムードメーカーでした。全員でワチャワチャしていて、めちゃくちゃ面白かったんですよ。かなりおかしな職場になっているので、笑いの面でも楽しみにしていただければと。川俣銀行のみんなとは、またどこかのシーンで一緒にならないかなと思うくらい楽しかったなぁ…。一度、音楽を諦めて落ち込んで川俣に行ってみたら、思いもつかない新しい世界が待っていたという。裕一もですけど、僕も救われた気がしていて。何しろ、芝居をかき混ぜる人たちしかいないですから! でも、その無責任な感じがめちゃくちゃ面白かったんですよね。

ーー 「川俣銀行編」、楽しみにしております。ところで、『エール』というタイトルは古関裕而さんが数々の応援歌を世に送り出したという功績にも掛かっていると思いますが、窪田さんは、このタイトルに込められた意味をどのように解釈しているのでしょうか?

人に寄り添う音楽をつくることが、古関さんの中ではこの上ない幸せだったはずで、それがビジネスにならなかったとしても、学校の校歌をつくれるというだけでうれしかった…のかなと、僕なりに想像しているんですけど、「エール」と一口に言ってもいろいろなとらえ方があるので…僕の中では「愛情」という解釈ですかね。それがメロディーに乗っかって、いろいろな人に届いていったのだと。早稲田大学の応援歌だったり、「六甲おろし」だったり、今もいろいろなところで歌い継がれていることが、それを証明しているんじゃないかなと思っています。

ーー 『エール』という作品を通じて、窪田さん自身は表現欲や俳優として魂を揺さぶられている、と感じることはありますか?

朝のお茶の間に届ける、というカラーで毎話15分間のドラマをつくっているわけですけど、すごく生々しいシーンもあったりしますし、きれいごとだけじゃないなということを、僕なりに日々感じています。と、同時にキラキラしたものの裏側を見たくなる欲だとか、目をそむけずに見届ける義務感みたいなものも感じていて。僕はここまで音楽に深くかかわったのは初めてなんですけど、役を通じて音楽をつくる中で、その裏側──いろいろな人が携わっていたりすることをすべての人に知ってほしい、とは言わないまでも、すべての物事に共通する本質というものを見せられたら、という思いも抱いてもいます。もちろん、現場は楽しくしたいですけど、決めるところはしっかり締めようという感覚で臨んでいて。ちょっと白けるヤツだなと思われる瞬間があるかもしれないんですけど、1年間ずっと一緒に作品をつくっているわけですから、お互いに理解し合って、上っ面だけの付き合いじゃないスタンスで取り組めたらいいなって。それは仕事だけじゃなくて、普段生きていく中でもすごく大切なことだと思うし、そこを理解してくれる人がずっと自分の周りには残っていてくれているというか…うまく伝わるかわからないんですけど、そういう思いで日々、現場に臨んでいます。

ーー 思いのほど、しかと受け止めました。さて、この特集ではみなさんへの共通の質問として、「エールをもらった1曲」というのを聞いていきます。窪田さんの“心の応援歌”は何でしょう?

「大地讃頌」という曲がありまして、それこそ中学3年生の時の文化祭の課題曲で指揮者を務めたことがあるんですね。当時、バスケ部だったんですけど、部活が終わっちゃって悩んでいた時に聴いたら、すごく勇気づけられまして。『エール』の現場に入ってから、そのことを思い出して、今もたまに聴いたりしています。古関裕而さんの曲から挙げるとすると、自分も野球少年だったので、やっぱり「栄冠は君に輝く」ですね。ある意味、ルーツと言える1曲です。

ーー ありがとうございます。それからもう一つ共通質問として、「思い出の朝ドラ」も挙げていただこうと思います。出演した作品、あるいはご覧になっていた作品のどちらでもいいので、ピックアップしていただければ、と。

実は…しっかりと朝ドラを見始めたのが、偶然なんですけど『ゲゲゲの女房』(2010年度前期)からなんですよ。春の時点では、(村井茂役の向井)理さんの芝居をじっくり見てみたいなという思いで、純粋にいち視聴者として見ていて。その後で(茂のアシスタント・倉田圭一役で)出演することが決まったんです。まさか、松下奈緒さん演じるヒロイン(村井布美枝)の妹さん(飯田家の四女・いずみ)と恋をするのかしないのか、みたいなエピソードを知った時は、ビックリしました。現場では、とにかく理さんがかっこよくて。その人の弟子役を演じられた嬉しさというのは、自分の中ですごく大きかったですし、「朝ドラ、いいな。出てみたいな」と思って見始めたら実現したので、そのころから願望や思いは素直に表に出すようになったんです。

しかも昨日(取材日前日)、たまたま理さんとお会いしたので、「『ゲゲゲ~』の時、どうでした?」って訊いたんですよ。そしたら、「大変だったことしか覚えてない。あのころの記憶って、あんまりないんだよね」とおっしゃって。でも、僕もクランクインから半年以上経っているんですけど、確かに序盤の撮影の記憶が薄れているんですよね(笑)。

ーー 茂さんのアシスタント陣(窪田、斎藤 工、柄本 佑)は、みなさん現在トップランナーとしてエンタテインメントシーンをけん引されていますね。

工さんも佑さんも本当にスゴいですからね! 自分は先輩方に置いていかれるばかりで…。

ーー なっ! 窪田さんはそれこそ朝ドラで主演を務められていらっしゃるじゃないですか(笑)。

そうでした(笑)。でも、本当ありがたいですね。『ゲゲゲ~』から、ちょうど10年というのも何かあるのかもしれないな、なんて勝手に思っていて。10年前は主人公たちの前を通り過ぎていく側でしたけど、『エール』では次から次へと人を迎え入れては送り出す、という立場で…さまざまな人生が目の前を通り過ぎていくのを見届ける感じがあるんですよね。それは、主役という立ち位置だからこそなんだなと、噛みしめてもいて。だから、『エール』を本当にいい作品にしたいですし、いい作品にできるようにがんばりますので、秋までの半年間、どうぞよろしくお願いします。

『エール』スタート直前! 朝ドラ初出演から10年経って窪田正孝が実感した、主役という重みは、WHAT's IN? tokyoへ。

最終更新:3/25(水) 8:01
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