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<熊谷6人殺害>涙こらえた父、亡き娘の卒業式に出席 校長から卒業証書を受け取る 娘思い浮かべほほ笑む

3/25(水) 10:00配信

埼玉新聞

 埼玉県内各地の小学校で卒業式が行われた24日、熊谷市立石原小学校では131人の卒業生が旅立ちの日を迎えた。その中の1人として門出を迎えるはずだった女子児童がいる。2年生の途中まで同校に通っていた加藤春花さん(7)。2015年9月、熊谷市内で男女6人が殺害された事件で、母美和子さん(41)、姉美咲さん(10)=年齢はいずれも当時=とともに尊い命を落とした。成長した次女の姿を想像しながら、この場に立ち会おうと、式には父親(47)が出席。終了後に飯田明彦校長(61)から卒業証書を受け取った。父親は「一つの区切り。小学校の卒業までは父として見届けたい気持ちがあった。卒業証書を出してくれてありがたく思う」と感謝した。

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、例年より時間も規模も縮小された卒業式。飯田校長によると、同級生の席に近いいすの上には春花さんの写真が飾られた。担任による氏名の読み上げや卒業証書の授与はない。それでも飯田校長は式辞で、「5年前に不幸な事件で亡くなった春花さんも皆さんと一緒に卒業です」と述べたという。

 父親は保護者とは別の席で参列した。「どのぐらい成長していたのかな」「身長も大きくなっていたのかな」。他の児童の様子を見ながら、6年生になった春花さんを思い浮かべた。「もしこの場にいたらと想像すると、悲しさで涙をこらえるのに精いっぱいだった。本来ならお祝い。それが見られないのが親として一番つらい」と吐露する。

 式が終わってから校長室を訪れ、飯田校長から春花さんの卒業証書を受け取った。17年3月には長女美咲さんの卒業式にも参列。そのときにもらった卒業証書は自宅の部屋にランドセルと一緒に飾ってある。春花さんの卒業証書も隣りに並べるという。

 この春で事件から約4年半。昨年12月には信じられない出来事があった。強盗殺人罪などで起訴されたペルー人の男(34)について、東京高裁が裁判員裁判の1審さいたま地裁の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡したからだ。1審から全ての公判を傍聴してきた父親は「納得できない。裁判をやり直してほしい」と強く求める。被害者遺族の心情が反映されていないと感じ、今後も率直な思いを訴え続けるつもりだ。

 1週間後の3月31日は、春花さんが生まれて12年目の記念日。今日25日は妻美和子さんの誕生日だ。近いうちに家族3人の遺骨が安置されている寺を訪れ、「無事に卒業したことを報告したい」という。

 愛する娘には「おめでとうと言うのが正しいのか分からない」と複雑な気持ちを抱える。それでも想像してみる。「もし生きていれば、家に帰ったときに、ありがとうという言葉が聞けたかな」。父親は6年生の春花さんを思い浮かべ、少しほほ笑んだ。

最終更新:3/25(水) 13:53
埼玉新聞

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