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「人力に頼るのはもう無理」 新型コロナの情報をAIで検知するJX通信社の挑戦

3/25(水) 12:33配信

ITmedia NEWS

 「今後、新型コロナウイルスの感染者数が世界的に増えていくと、情報の収集・集計を人力でやるのはまず無理です。いまのスピード感を維持していけるのは当社だけでしょう」――JX通信社の細野雄紀取締役CXO(Chief Experience Officer)は、こう話す。

AIでコロナの情報を検知(画像)

 3月25日時点で、日本国内の感染者数は1000人を超えており、世界でも感染者や死亡者が日々増えている。こうした情報は、発表する組織・団体によって集計方法や公表のタイミングにばらつきがあり、SNSなどでは偽情報も流れているため、人々が正確な情報を追うことは難しくなってきている。

 そんな中、AI技術を活用し、確度の高い情報をなるべくリアルタイムに配信しようと尽力しているのが“記者0人の報道ベンチャー”であるJX通信社だ。同社は、災害や事故などのリスク情報をSNS上から収集、配信するSaaSの「FASTALERT」や、個人向けの速報ニュースアプリ「NewsDigest」を提供。最近では両サービスで新型コロナ感染症に関する最新情報を配信している。

 新型コロナウイルス感染症に関するFASTALERTの特設ページは、ユーザー企業へのヒアリングなどをしながらわずか1週間ほどで完成させたという。細野CXOは、「新型コロナの情報も、これまで扱ってきた事件や事故に関する情報と同等の精度で検知できている」と自信を見せる。なぜ、同社は正確な情報をいち早く捉えることができているのか。

「企業絡みの感染者情報は、SNSが速い」

 FASTALERTは、SNSに投稿された画像や文章を解析し、災害や事件、事故などに関する情報を自動で収集する仕組みで、報道機関や政府・自治体、民間企業などが利用している。情報収集の作業を自動化しているため、手動で行うよりも幅広い情報を素早く集められる。AIによる自動検知でスピードを、画像と文章解析の組み合わせで正確性をそれぞれ担保しているという。感染者数など、ユーザーの目に触れる情報の反映については手動で行っている。

 ただし、火事や事故などと異なりウイルスは目に見えないため、従来の画像や動画解析とは異なる難しさもあるようだ。現在も精度高く検知できているが、今後は偽情報をフィルタリングする仕組みの精度をさらに向上させるなど対策を強化するとしている。

 一方で、企業絡みの感染者情報については、新聞社やテレビ局を上回る機動力で情報を検知できているという。ある企業で感染者が出た場合、企業はその事実を公式サイトなどで公表することになるが、「企業が公式発表する前に、SNSでその情報が漏れている場合が多いです」と細野CXOは説明する。

 「例えば、感染者本人と思われる人がその事実を投稿するケースもあれば、感染者の情報が書かれたビルの張り紙の写真を撮影して投稿する人もいます。FASTALERTでは投稿後、最短20秒で検知できます」(細野CXO)

 海外の情報については、情報元を現地のテレビ局やラジオ局などのSNSアカウントに絞ることで、現地メディアが報じる一次情報を素早く検知できるという。

 「このような未曽有の状況では、細かな意思決定が企業の局面を左右するため、迅速な意思決定をするためには今起きていることを正しく把握しないといけません。渡航の可否や経済への影響などは、日本企業にとっても重要な情報といえます」と細野CXO。FASTALERTでは、企業のセミナー中止やテレワーク動向などの情報も提供しているが、今後もユーザー企業のニーズに合わせて配信内容を検討していくという。

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最終更新:3/25(水) 13:57
ITmedia NEWS

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