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入院拒否され、家族同伴入院指針もなく…認知症高齢者は陽性判定治療の“死角地帯”

3/25(水) 7:00配信

ハンギョレ新聞

身体が不自由な母親を世話する50代 「23日間、治療受けられずに…あきらめ状態」 新型コロナによる死亡の27%が認知症患者 「家庭内医療支援サービスが急務」

 「今はあきらめ状態です。天に任せるのみです」

 ハ・ミングさん(仮名・54)の声には、疲労のあとが歴然としていた。ハさんは今月1日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性判定を受けた母親のキム・スクヒさん(仮名・79)を23日間にわたり大邱(テグ)で一人で世話している。認知症を病むキムさんは、入院はおろかまともな訪問診療さえ受けられずに、息子一人に頼っている。19日にCOVID-19の再検査を受けたが、結果は依然として陽性だった。「今のシステムについては、ほとんどあきらめている状態です。今は病院も信じられません」ハさんは重いため息を吐いた。

 COVID-19事態が長期化する中で、認知症の高齢の陽性判定者は、治療の死角地帯に置かれているという指摘が出た。認知症患者という理由で入院が不可能で、関連指針がないとの理由で家族と一緒に入院することも拒否されるためだ。24日基準でCOVID-19で亡くなった患者124人のうち、認知症患者は34人(27.4%)に達する。

 キム・スクヒさんも陽性判定を受けた後、医療機関でただの一度も診療を受けられないまま病状が悪化している。長期療養等級2等級の彼女は、一人では身動きが困難な重症認知症患者だ。新型コロナに感染した後、頻繁な咳はもちろん、からだを支えることもできないほど体力が衰え、下痢も頻繁になった。入院が至急必要だが、認知症患者であるという理由で入院は断られている。「ベッドがある」と連絡してきた国軍大邱病院は、「身動きが不自由な認知症老人は入院できない」と話した。切なる思いでハさんが病院で付きそうと申し出たが、それも拒否された。大邱市が入院の機会をくれたまた別の病院は、大邱から180キロメートル以上離れた清州(チョンジュ)医療院だった。ハさんは「身動きもできない母親を2時間も救急車に乗せて一人で送ることはできなかった」と吐露した。大邱市などが連絡してきた6回の入院機会は、すべてそんな事情で実現しなかった。

 COVID-19と認知症を同時に病んでいる母親を、家族が家で世話することは容易でない。食事から下の処理まで母親のそばから離れられないハさんにとって「同じ空間内では2メートル以上の距離を維持しなさい」という新型コロナ予防規則の遵守はまったく不可能だ。息子のハさんは、新型コロナ陽性判定者の同居人なので、自宅隔離の対象である上に、認知症が重いキムさんを一人で置いて外出することもできない。こうした状況の中で大邱市が5日に初めて提供した救護食料は、軍用非常食1袋とコメ5キロ、海苔20パック、ラーメン10袋とマグロ3缶、ミネラルウォーター1.5リットルがすべてだった。ハさんは「うちの母にはそれでも私がいるが、一人暮らしの認知症老人たちがどうすればこの食糧で食事を作って食べて持ちこたえられるだろうか」と話した。遅くも11日からは3食の米飯とおかずが提供されているものの、配達時刻がまちまちで適時に食事を取ることは難しい状態だ。

 これと関連して大邱市感染病管理支援団のキム・シヌ団長は、ハンギョレに「保護者や看病人がいない状況で、看護師が保護服を着て排泄物を片づけなければならない状況だ。家族同伴入院も指針がないだけでなく、非感染者を感染者に付き添わせることも難しい」と話した。中央事故収拾本部の関係者は「大邱・慶尚北道特別管理地域は、病院が希望すれば療養保護士や看護助務士(准看護師に相当)を患者数に応じて人材支援をしている」と説明した。大邱市は17~21日、看護助務士と療養保護士69人を病院に派遣した。

 専門家たちは、認知症患者に家庭内医療支援サービスを提供するなどの積極的支援が必要だと指摘した。中央大学のチョン・ジンウォン教授(感染内科)は「認知症患者は症状を訴えることができず、感染が進んだ状態で発見されるケースが多い。統制が難しいという点を考慮して、レントゲン検査や酸素供給処方など最小限の医療システムだけでも急いで提供しなければならない」と説明した。翰林大学のソク・ジェウン教授(社会福祉学)は「認知症患者は身体的にも経済的にも最も脆弱な集団なので、COVID-19の発病率が高くならざるをえない。治療が難しいからと優先順位から排除するのでなく、認知症患者に合う世話と治療をするシステムを考えなければならない」と指摘した。

クォン・ジダム、パク・ヒョンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:3/25(水) 7:00
ハンギョレ新聞

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