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“バッハ会談”に政治家ズラリ JOC山下会長はなぜ蚊帳の外だった?

3/26(木) 12:00配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 まるで政治家の密談だ。

 24日夜に行われた国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と安倍首相の電話会談。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて安倍首相は、今年7月24日開幕予定の東京五輪を1年程度延期するよう提案。バッハ会長がこれを受け入れた形になった。しかし実際は、17日の臨時理事会以降、IOCは「1年延期」に舵を切り始め、水面下で動いていた。安倍首相の「お願い」で延期が決まったわけではない。

 それにしても不思議なのは、この会談に「あの人」がいなかったことだ。25日の一般紙やスポーツ紙に掲載された写真を見ると、安倍首相以外の出席者は、森組織委員会会長、菅官房長官、橋本五輪相、小池百合子東京都知事の4人。さらに、組織委員会の武藤事務総長も同席しているが、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長の姿がない。

 国士舘大非常勤講師でスポーツライターの津田俊樹氏が言う。

「組織委員会の会長や開催都市のトップはわかります。なぜこの席に菅官房長がいて、JOCの山下会長が不在なのか。山下会長は今年1月、IOC委員にも就任している。形式上の提案でも、バッハ会長との会談です。『なぜ、私を呼ばないんだ』と怒って当然です。ましてや山下会長は、政治主導でボイコットになった1980年のモスクワ五輪の代表じゃないですか。JOC会長として情けないですよ」

 モスクワ五輪ボイコットは、1979年12月にソ連(現ロシア)のアフガニスタンへの軍事侵攻がきっかけだった。激しく抗議した米国のカーター大統領が西側諸国にモスクワ五輪のボイコットを呼びかけ、日本政府もそれに追随。山下会長は「幻の代表」になった。

 当時のJOCは日本体育協会(現日本スポーツ協会)内のひとつの委員会に過ぎなかった。体協は国から強化費や派遣費用などを受け取っていたので、財源を握る政府の意向には逆らえなかった。

■「モスクワ」以上の関係に

「五輪代表が政治に翻弄された悲劇です。それを繰り返さないために、JOCは体協から独立した。今はあの時よりも、国への依存度が高まっている。五輪や国際大会に出場する選手のために建設されたナショナルトレーニングセンターには多額の税金を投入。東京五輪の強化費だけでも毎年100億円前後の予算が計上されている。

 政府にソッポを向かれたら、各競技団体は五輪で活躍できる選手を育てることができない。密接な上下関係が築かれているので、政治家もスポーツ団体の幹部をバカにしている。だからIOC委員でもある山下会長をバッハ会談に同席させるという発想が、安倍首相や組織委員会の森会長にはない。この国のスポーツ界は40年前、否、終戦直後から何も変わっていないことが改めてわかった」(前出の津田氏)

 誰のための東京五輪か、よくわかる。

最終更新:3/26(木) 18:07
日刊ゲンダイDIGITAL

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