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1970年式ボルボ「アマゾン」に試乗 半世紀前のクルマに乗り続けられる理由とは

3/26(木) 11:51配信

くるまのニュース

ボルボは過去のモデルでも基本的な補修部品はいまでも手に入る

 クルマ好きならば愛車は少しでも長く乗りたいもの。ただし少しでも長く、少しでも良いコンディションで乗ろうと思うと、なかなか難しい現状が待っている。

【写真】半世紀前のクルマに試乗! ボルボ「アマゾン」を画像でチェック(15枚)

 クラシックカー、絶版車、NEOクラシック。古いクルマの呼び方はいろいろとあるが、生産中止になって時間が経つクルマのオーナーがまず苦労していることは、交換用のパーツが少ないということだろう。とくに国産車の場合、マツダ初代「ロードスター」や日産「スカイラインGT-R」など数少ない例外を除けば、どのディーラーにも純正の部品がなく、結局最後は仲間のツテや個人間オークションなどに頼らざるをえないという。

「ボルボ車に関していえば、走る/曲がる/止まるに関する部品は、過去のさまざまなモデルに対応するものをほとんど供給することができます」と、ボルボ・カー・ジャパンの阿部昭男氏はコメントする。「リプロダクションのパーツも豊富に用意されていて、その消耗部品はそれほど価格も高くありません」

 クラシックボルボのオーナーのために、2016年8月から展開しているのが、古いボルボの整備から販売までをおこなう「KLASSISK GARAGE(クラシックガレージ)」だ。阿部氏はこのクラシックガレージの責任者になる。

 ボルボ・カー東名横浜内にあるこのクラシックガレージは、一般の修理のほか、中古車の商品化もおこなっていて、すでに240GLワゴン(1991年製)や240クラシック・ワゴン(1993年製)、P1800ES(1973年製)など20台近くをリフレッシュして中古車として販売している。またこの4年間で修理作業は280台を超えたという。

 今回、そんなクラシックガレージが整備した、1970年製のボルボ「Amazon 122S(アマゾン122S)」に試乗することができた。

五感を使って操作するため「ながら運転」とは無縁

 1970年製のボルボ・アマゾン。窓越しにメーターを覗いてみると、その総走行距離は5万5000kmを示している。「じつはメーターが3周回っていて、本当の走行距離は35万5000kmです」と阿部氏。「ワンオーナーで記録簿もすべてついた車両なので、そういうこともすべてわかります。このモデルだと北欧自動車がインポーターだった時代で、ヤナセの販売店で購入されています」。

 50年前のモデルとは思えないほど、内外装ともに美しいアマゾン。聞けばボディは塗り直しているそうだが、インテリアはオリジナルとのこと。「屋根ありのガレージでの保管で、内装の傷みは最小限でした。このアマゾンはブッシュやモールなど、ゴム系の消耗部品を中心にリフレッシュしています」
 
 室内に入り、クッション性の高い本革シートに座る。そして、50年前のモデルとしては珍しい3点式シートベルトを装着。そう、ボルボは1959年「PV544」というモデルに、世界で初めて3点式シートベルトを装備したメーカーとして知られている。

 そしてこの特許を無償で公開。世界中のクルマに3点式シートベルトが採用されるようになり、現在に至っている。ボルボの安全神話を物語る機能でもある。

 スクーター用のような小さい鍵を挿し回すと、ブルルルルと元気にエンジンが始動した。2リッターツインキャブの直列4気筒OHVは、不整脈をおこすことなくきれいにアイドリングをおこなう。アイドリング中、エンジンの振動は室内にまったく伝わってこない。

 右手側にあるパーキングブレーキを解除し、床から伸びるシフトノブを1速に入れる。恐る恐るおこなったクラッチミートだが、驚くほど簡単に繋がり、速度を上げていく。2速、3速とシフトアップ。これも変速時にエンジン回転を上げる必要もなくスムーズにおこなうことができる。よく整備されている証拠だ。

 パワステなどは一切ついていない、細いリムの大径ハンドル操作の感覚には最初違和感があったが、いつのまにか慣れていく。

 あらゆる感覚を使って操作する必要があるから、「ながら運転」なんてできない。でも、クルマの運転ってこういうものだったんだ、と思い出させてくれた時間。あっという間に過ぎた試乗だった。

※ ※ ※

 ボルボのリリースによると、アマゾンは1956年から1970年の間に66万7791台が生産されたという。ボルボ車としては初めてスウェーデンだけでなく国外でも組み立てられたモデルだった。

 そしてスウェーデンで販売された29万7000台のうち、まだ約8%のアマゾンが現役なのだという。 
 
 このボルボをはじめ、ポルシェやメルセデス・ベンツ、BMWなど、ヨーロッパに行くと古いモデルがいまでも現役で走っているのをよく見かけるが、これはオーナーの愛情が深いとかそういうメンタルなものではなく、現実問題として消耗部品がきちんと手に入れられるのかどうか、というところにかかっている。

 このクラシックガレージという取り組みがあれば、ボルボのオーナーは安心して、長く乗り続けることができる。他メーカーのオーナーからしてみたら、ちょっとうらやましいところだ。

VOLVO 122S Amazon
・車両価格(1970年当時):171万円
・全長:4450mm
・全幅:1630mm
・全高:1490mm
・駆動方式:FR
・車両重量:1040kg
・エンジン形式:直列4気筒OHV
・排気量:1986cc
・変速機:4速MT
・最高出力:118ps/5800rpm
・最大トルク:17.0kgm/3500rpm
・サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/コイルスプリング・リジット
・ブレーキ前/後:ディスク/ドラム
・タイヤ前後:165/SR15

ネギシマコト

最終更新:3/26(木) 13:03
くるまのニュース

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