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教員の働き方「脱100点主義」 “ブラック職場”打破へ定時退校7か条 北九州市の挑戦

3/26(木) 11:06配信

西日本新聞

 北九州市の小中学校で教員の働き方を見直す取り組みが本格化している。“ブラック職場”のイメージから教員を志願する人が減少する中、教育の質は維持しながら「子どものために長時間働くのは当然」という固定観念を打破しようと模索を続けている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた一斉休校で新年度は負担が増え、さらなる取り組みが求められそうだ。北九州市の挑戦を2回に分けて紹介する。

【画像】「定時退校のための心得7か条」

 「70点~80点主義で」。北九州市八幡西区の折尾西小(教職員31人、児童502人)は2018年9月、業務改善策として「定時退校のための心得7か条」を打ち出した。“脱100点主義”の先頭に立つのは、同年4月に着任した成重純一校長(56)だ。

 同校の学級担任は通常、児童が下校した午後4時から翌日の授業の準備やテストの採点などをする。当時教員2年目だった河堂貴人さん(25)は「午後8時、9時まで残業するのが当たり前だった」と振り返る。

学校現場では無縁だった「働き方改革」

 授業も準備も完璧を目指せばきりがない。世の中では教員の「働き方改革」の重要性が指摘され始めていたが、学校現場では無縁だった。

 成重さんは、前任の福岡教育大付属小倉小の副校長時代、遅くまで残業するのを当然と受け止める職場の雰囲気に疑問を抱いた。「こんな働き方では、新しい人材は入ってこない」

 折尾西小では着任早々「全てを完璧にやるのは無理だ。授業の質を下げず、準備には70~80%の労力でやれないか」と現場に提案した。教員たちとの面談や雑談を重ねる中で、有言実行の指針とする7か条をまとめ、職員室に張り出した。

 7か条に連動して、同校では年中行事も大胆に見直した。運動会の紅白リレーは昨年度で終えた。全学年が年1回行う音楽会は偶数学年だけとし、奇数学年は音読などの発表会に変更した。リレー選手や担当楽器の選考で、不公平感が生まれないように時間をかける教員が多かったためだ。

年中行事も大胆に見直し

 7か条の一つ「教材・教具の共用、使い回しを」の効果は思いの外、大きかった。授業では教科書の内容を大型コピー機で拡大印刷して黒板に貼り出すが1枚印刷するだけで約10分かかる。担任は全ての作業を自分でやるのが当然との意識が強く、同じ教材の作成に各自が時間を割いていた。

 それを分担して作成、共有するようにし、それぞれの授業が重ならないよう時間割も調整した。

 現場には当初、戸惑いもあったが徐々に浸透。「児童の理解に大きな影響がない」と、黒板に張り出す資料の写真やグラフの枚数を減らした教員もいる。教員3年目の中西あゆみさん(27)は「優先順位をつけて仕事をする意識に変わった」と話す。

 成重さんは、17年度から本年度まで在籍している教員11人の平均残業時間(勤務時間外の在校時間)を計算してみた。繁忙期の10月で比較すると、17年度は平均66時間だったが19年度は同47時間まで減っていた。教務主任の大島健太朗さん(39)は「以前はほとんどの教員が授業の質を高めなければと思って働き過ぎていたが、心の余裕が出てきた」と感じている。

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最終更新:3/26(木) 11:06
西日本新聞

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