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「雑誌SK」アーカイブ|ギャレス・ベイル “銀河系”の先にあるもの

3/26(木) 17:50配信

SOCCER KING

[サッカーキング No.002(2019年5月号)掲載]

2017-18シーズンの最後、ギャレス・ベイルは驚異的なゴールを決め、レアル・マドリードを13度目の欧州王座に導いた。その9カ月後、レアルのベンチには再びジネディーヌ・ジダンが座ることとなった。彼が指揮を執るチームの中で、ベイルは何を目指し、どこに向かって進んでいるのだろうか。

インタビュー・文=ジェイムズ・モウ
翻訳=加藤富美
写真=ゲッティ イメージズ

 魚を焼く匂いがする。どうやらメディア関係者に振るまう昼食を準備しているらしい。

 2019年1月、ウインターブレイク明けに設けられた“メディア・デー”のために、クラブには世界各国のジャーナリストが集まっていた。選手たちは分刻みのスケジュールで取材に対応している。

「実を言うと、魚はあまり好きじゃなくて」

 ギャレス・ベイルはわざとらしく顔をしかめたあと、気持ちのいい笑顔で我々をインタビュールームに招き入れてくれた。『FourFourTwo』の取材スタッフは、これまでに欧州の様々なクラブの練習場を訪れている。しかし規模という点で『シウダード・デポルティバ』を上回るものはない。欧州フットボール界で他を圧倒する栄冠を手に入れてきた、世界で最も有名なクラブにふさわしい施設だ。

 総面積は120万平方メートル。フルサイズのピッチが12面もあり、併設されたクラブハウスにはジム、リハビリセンター、治療所、プール、そして様々なメディア対応施設が並ぶ。その中央には、レアル・マドリード・カスティージャ(Bチーム)が本拠地とする、収容人員6000人のエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノがそびえている。

 我々は2015年にもベイルを取材したことがあった。当時、レアルで2シーズン目を迎えていた彼は、スペインでの生活を楽しんでいる様子を聞かせてくれた(「地元のスーパーで輸入物のベイクドビーンズが買えるんだ!」とか)。

「僕も家族も、もうすっかりここになじんでいるよ」とベイルは笑う。すでにレアルで5年半を過ごし、4度のチャンピオンズリーグ制覇を経験した。イングランドでこの回数を超えられるクラブはリヴァプールだけだ。

「本当にハッピーだよ。心からフットボールを楽しめている。トロフィーを掲げる姿もサマになってきただろ?」

 2018年夏、クリスティアーノ・ロナウドを失ったレアルの中で、彼は“新しいキング”と見なされていた。もっとも、このインタビューが行われた1月と今とでは、少し状況は違っている。レアルはCLでアヤックスに敗れ、シーズン2度目の監督交代を経験した。ジネディーヌ・ジダンを指揮官に呼び戻し、再スタートを切ることになった。

 しかし、そうした“変化”こそ、彼の望むものだろう。2013年の夏、ベイルがトッテナムからレアルへと戦いの場を移したとき、英国籍の選手が海を渡るのは珍しいことだった。慣れ親しんだ環境に固執する選手は多いが、ベイルは違う。彼は異文化への挑戦を求めた先駆者になり、ジェイドン・サンチョ(ドルトムント)のような若者たちのロールモデ ルになった。英国から海を渡ってキャリアを築こうという若手選手は、確実に増加傾向にある。

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最終更新:3/26(木) 17:50
SOCCER KING

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