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世界で戦う日本の先端素材メーカー、146社の従業員給与を徹底比較! 

3/27(金) 12:00配信

MONEYzine

■素材メーカー146社の平均従業員年収をチェック! 

 鉄鋼や非鉄金属、化学、紙パルプ、繊維、ガラス、セメントといった素材メーカー群は、日本の産業を土台から支える存在だ。消費者に直接届ける商品が少ないこともあって知名度に劣るのも事実だが、世界的に高いシェアを獲得している製品を手がけている企業も目立つ。

 規模で勝る中国企業など世界大手を相手に、生き残り戦略として高機能の先端素材メーカーにシフトしている各社の従業員年収(従業員平均年間給与)を見てみよう。

 今回調査したのは146社。全社が開示しているそれぞれの年収を平均すると、17年決算期659.1万円、18年決算期665.7万円、19年決算期676.9万円である。

 大幅増とはいかないまでも、主な素材メーカーの従業員年収はプラスで推移。平均額算出の対象従業員数や平均年齢、平均勤続年数からは、年収1000万円超の従業員が在籍していると見ていいだろう。

 19年決算期ベースでいえば、総合化学最大手の三菱ケミカルホールディングス(HD/4188)と鉄鋼大手のJFEHD(5411)が1000万円台。積水化学工業(4204)と住友化学(4005)が900万円台である。

 以下、800万円台12社、700万円台45社、600万円台46社、500万円台29社、400万円台9社、そして300万円台が1社となっている。主流は600万円~700万円台だ。

 増減はどうだろうか。19年決算期の従業員年収が18年決算期と比べてアップしたのは101社、ダウンは43社、2社が同額だった。

 19年決算期における146社合計の従業員数は、およそ25万7500人。1社平均にすると1760人強である。

 平均年齢は41.5歳、平均勤続年数は17年。これら数値は定年退職まで在籍する従業員が多いことを示している、といっていいだろう。以下、業種別に見ていこう。

■【鉄鋼・非鉄金属】JFEHDが突出

 鉄鋼と非鉄金属業界では、鉄鋼2位のJFEHDが突出。前年からおよそ150万円アップし、19年決算期における従業員平均年間給与は1090万円だった。

 ただし、他社にしてもJFEHDのように平均額算出の対象者を限定すれば、同じような水準にあると見ていいだろう。

 たとえば、鉄鋼業界トップの日本製鉄(5401)である。JFEHDの41人に対し、日本製鉄の場合は2万7000人弱の平均額だ。社歴が浅い社員や製造現場部門の人材を含めた数値であることは明らか。本社の管理部門の担当者や経営幹部候補などに限った平均額となれば、給与水準は跳ね上がると見るのが妥当だろう。

 鉄鋼業界では、日本冶金工業(5480)や大同特殊鋼(5471)、山陽特殊製鋼(5481)などが700万円台でJFEHDに続く。ステンレス鋼板を手がけている日本冶金工業は、対前年比135万円のアップ。17年決算期との比較では約180万円の増額である。利益の拡大にともない、給与・賞与の支払総額が伸びたことは決算書からも明らかだ。

 鉄鋼大手ながら、非鉄金属に分類されるアルミ・銅、さらには電力事業を展開している神戸製鋼所(5406)は500万円台である。

 一方、非鉄業界では、DOWAホールディングス(HD/5714)、住友金属鉱山(5713)、住友電気工業(5802)の3社が800万円台でトップグループを形成している。

 「ワシントンホテル」などを展開している藤田観光(9722)は、DOWAHDの関連会社だ。海外の鉱山開発に取り組むなど“非鉄金属メジャー”を目標としているのが住友金属鉱山。住友電気工業は光ファイバケーブルや車載用組み電線(ワイヤーハーネス)の世界大手である。

 ちなみに、リーマンショックの影響を受ける前の2008年決算期は、JFEHDが1255万円、日本製鉄(旧新日本製鐵)は749万円、神戸製鋼は660万円だった。10余年が経過しても、リーマンショック以前に回復していないともいえるだろう。

■【化学】高い給与水準、年収トップは「三菱ケミカルHD」

 今回調査した143社のなかで、断然のトップは三菱ケミカルホールディングス(HD/4188)である。同社が開示している給与水準は、素材メーカー首位にとどまらず、およそ3700社を数える全上場企業においてもトップクラスである。

 19年決算期ベースでいえば、従業員平均給与が3000万円を突破(3109万円)したM&Aキャピタルパートナーズ(6080)などに続く4位。給与水準が高いことで知られる総合商社や大手テレビ局を上回っていた。

 子会社の三菱ケミカルや田辺三菱製薬などを含めたグループ従業員7万人超の代表ということなのだろう。平均額算出の対象者は百人台と少人数とはいえ、三菱ケミカルHDの従業員平均年収はここ3年、「1145万円→1440万円→1738万円」と、増額での推移である。

 三菱ケミカルHDには及ばないが、積水化学工業(4204)と住友化学(4005)は900万円台。三菱ガス化学(4182)や信越化学工業(4063)、三井化学(4183)などが800万円台である。数千人規模の平均額でも700万円台を維持している企業も存在するように、素材メーカーのなかでも化学関連企業の給与水準は高いと見ていいだろう。

■【紙・パルプ、繊維、ガラス・セメント】「脱・繊維」の動きも

 紙・パルプでは業界トップの王子ホールディングス(HD/3861)が、従業員平均年間給与でもトップ。段ボールを主力製品としているレンゴー(3941)が700万円台で続く。

 繊維業界では、700万円台の旭化成(3407)や帝人(3401)、日清紡ホールディングス(HD/3105)などが他社をリードしている。

 ただし、ファーストリテイリングが展開している「ユニクロ」の定番商品であるヒートテックやエアリズムなどを共同開発している東レ(3402)や旭化成、帝人などは、化学品や医薬品、医療機器などの製品群も手がけている。

 繊維各社は、中国などの新興企業の攻勢を受けたことで“脱繊維”に舵を切り、持続的成長を実現してきたといえるだろう。旭化成はリチウムイオン電池部材で世界トップ級。日清紡HDの主力製品は自動車用ブレーキ摩擦材である。

 ガラス・セメントでは、コンクリート基礎杭のアジアパイルホールディングス(HD/5288)とガラス世界トップのAGC(5201/旧旭硝子)が800万円台で他社をリード。日本板硝子(5202)、日本電気硝子(5214)、太平洋セメント(5233)が700万円台で続く。

■素材メーカーを直撃する新型コロナウイルスの影響

 1000万円プレーヤーも確実に在籍するなど、日本の経済を支える素材メーカー各社の従業員年収はプラスで推移してきたといえるが、ベースアップどころか定期昇給を見合わせる企業が続出するのではないかとの懸念も高まってきた。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済失速で、素材メーカー各社も業績下降が避けられない状況になってきたためだ。

 「賃上げより雇用」と声高に叫ばれた時代があったが、その再現は避けたいところだ。

最終更新:3/27(金) 12:00
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