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妻に先立たれ、子育てと親の介護の「ダブルケア」 職場の無理解・地域のしがらみも……ひとり親の10年

3/29(日) 7:02配信

withnews

【 #父親のモヤモヤ 】
仕事に、子育てと親の介護の「ダブルケア」、それに地域活動も。すべてに滞りなく関わることは、きわめて難しいことです。中部地方に住む会社員の男性(48)は、そう痛感する1人です。10年前に同い年の妻をがんで亡くし、いまは、長男(15)と次男(12)の子育て中。ひとつ歯車が狂えば生活が破綻する。この10年は、そんな感覚を味わっています。(朝日新聞記者・高橋健次郎)

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仕事人間、妻の病気で一変

男性は、知的財産を扱う部門で管理職として働いています。会社の「虎の子」を守り、権利が侵されれば時に闘う。技術の理解はもとより、海外の弁護士との交渉もあるハードな職場です。

かつては「仕事人間」でした。「残業をして日付が変わった午前0時過ぎに帰ることも当たり前。当然に寝不足で、不機嫌な表情のまま朝食をとって仕事に出かける日々でした」。子どもと話をする時間もなかったと言います。

妻にがんが見つかり、生活が一変します。朝は子どもを保育園に送り、定時には帰宅するように。「極限まで仕事の無駄を省きました」。帰宅後は、療養中だった妻用の食事と、子どもたちの食事を別々に料理。夕食をとれば、お風呂に、寝かしつけと続きます。こうした生活が1年2カ月続きました。

妻は、旅立ちました。

「子どもに寂しい思いをさせたくない。その一心でした」。保育園の帽子に刺しゅうをしたり、きれいに飾り付けをした「キャラ弁」を作ったり。休みには、海や山へ。長い休暇には、北海道を一周する旅行もしました。

ただ、公園など家族連れが集まるところには行けませんでした。めまいがして気持ちがすぐれなくなったと言います。「人が少なく、自然がある。そんなところばかりに出かけました」

業務を効率化すると、また仕事が……

一方、仕事は多忙を極めました。「喪中」こそ一定の配慮がありましたが、次第に任される仕事量が増えました。「業務を効率化して早く終わらせると余裕があると思われ、また仕事を振られる。そしてさらに効率化して……の悪循環。働いた時間ばかりが評価の対象でした」。やむを得ず残業する場合、買っておいた弁当を子どもたちだけで食べさせましたが、心が痛んだと言います。

「男は仕事、女は家庭」のような考え方は社会に根強く残っています。「職場では、子育て中の女性への配慮はありますが、子どものいる男性は仕事をして当然と思われています」。男性はこう話します。「夫側へも子育ての配慮がなければ、女性が多い子育て社会にはなじめない。これでは、シングルファザーは孤立します」

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最終更新:3/29(日) 7:02
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