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「欅坂46や乃木坂46は“ディスラプター”」――デジタルトランスフォーメーション戦略とアイドル戦略の意外な共通点とは

3/27(金) 10:42配信

ITmedia エンタープライズ

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)の正体は知識の奪い合いだ」

 そう語ったのは、国立情報学研究所の安藤類央氏(サイバーセキュリティ研究開発センター 特任准教授)だ。DXによりビジネスの世界はどう変わってしまうのか。生き抜くためにどのように考え、どのように振る舞うべきなのか。アイドルの戦略を引き合いにして、DX時代を生き残る術を探る。

成功しているアイドル、DXを実行する企業を分析することで浮かび上がる3つの戦略

新しいアイドル像と対比して、DXにおけるディスラプターに対する姿勢を示す

 「日本の事業の柱が変わってきた」と安藤氏が語り始めたのはITmediaエンタープライズセキュリティセミナーの「昨今のアイドルとDXに共通する経営論 ~ダイヤモンドからヒスイの時代へ~」セッションでのことだ。

 昨今の日本はインバウンド需要を支えにして観光業が伸びてきているという。かつては「技術立国」「ものづくり大国」を自負してきたが、今では製造業よりも観光業の方が高い成長率を誇る。そして現在の観光業は、「情報経済」の市場である。

 「工業経済は、技術を持つ少数の企業が市場を支配する寡占型でシェアが緩やかに変化していました。終身雇用も、市場の安定を反映したものでした。しかし情報経済は独占型です。市場の覇権は、優れた技術を持つ新興企業の登場であっという間に変わります。実は同じような変化が、アイドル業界にも起きていたのです」(安藤氏)

 安藤氏によれば2005年くらいまでのアイドル市場は寡占型だったという。そこに「AKB48グループ」(AKB48やSKE48、NMB48など)や「坂道グループ」(乃木坂46、欅坂46、日向坂46)が現れた。彼女たちがアイドル業界を席巻したことは、アイドルに興味がない人でも知るところだろう。安藤氏はアイドル業界におけるAKBグループや坂道グループを、DXによるディスラプターに例えた。

 「欅坂46は、AKB48や乃木坂46を上回る人気で、デビュー最速東京公演(2019年12月段階)を実現しました。日向坂46は、女性アーティストのデビューシングル販売枚数で初週記録を更新しました。ももいろクローバーZががんばって10万枚売るところを、日向坂46は最初の週だけで約47万枚売り上げたのです。情報経済の市場でも同じことが起きています。アメリカの小売業はおよそ100年かけて現在の形態にたどり着きましたが、中国はアリババが登場して30年で同じ進化を実現しました」(安藤氏)

 中国経済はかつて多くの面において先進国の後じんを拝していたが、見方を変えれば足かせになるようなレガシーな遺産を持っていなかった。「負の遺産がない分、最先端のテクノロジーを採用しやすく、一気に世界最先端級の小売業モデルを構築できた」のだと安藤氏は言う。

 「DXとは知識、データの奪い合いだ。100年続いた人間至上主義から、データ至上主義への変化だ。昔のように戦争で土地を侵略する必要はない。知識や情報を奪い、生かせる者が勝つ」(安藤氏)

 一方で情報や評判は、自由になりたがっているという。データ至上主義の世界では、情報漏えいを完全に防げない。秘密が増えれば増えるほど管理コストは増え、脆弱(ぜいじゃく)になっていく。

 「そこで参考にしたいのが、現在のアイドルたちです。かつてのアイドルとは違い、秘密を抱え込むことはしません。自分の情報や写真は流出するものだと割り切っているのです。データフローとレピュテーションはコントロールできないものだという前提に立っています」(安藤氏)

 こうした市場で戦い生き抜いていくためには、予期しない変動を手なずけるレジリエンシー(靱性)が必要だ。ガラスのように脆弱でも戦えないが、ダイヤモンドのような剛性だけでも通用しない。ダイヤモンドは世界一硬い物質だが、結晶の面に沿って衝撃を与えれば割れてしまう。対してヒスイは、硬さという点ではダイヤモンドに劣るが、細かな繊維状の結晶が絡み合った構造になっており、割れることなく加工できる靱性を持っている。セッションタイトルにある「ダイヤモンドからヒスイの時代へ」とは、そうした変化を指しているのだという。

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最終更新:3/27(金) 10:42
ITmedia エンタープライズ

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