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トヨタ「HSR」を介護向けに使いたい!“ロボット自治体“が動き出した

3/28(土) 14:06配信

日刊工業新聞電子版

相模原市の中小企業、アプリ公開で見えてきた実用化

 相模原市では市内中小企業が中心となり、産学官連携によるロボット研究に取り組んでいる。ロボットアプリケーション開発や実証実験の実施を目的とする「さがみはらHSR社会実装研究会」は、2019年度に開発した高齢者向け「バイタル測定アプリ」を公開した。トヨタ自動車のロボット「HSR」が移動しつつ高齢者の顔を認識し、体温と心拍数を計測して回る。信頼性に課題は残るが、実用化の可能性は見えたとしている。

 さがみはらHSR社会実装研究会ではトヨタと市内企業が共同でHSRの実用化に取り組む。市内の情報通信系企業からなる、さがみはらIT協同組合(杉本祥一理事長)が中心となり、17年度からHSRを使った介護現場のサービスアプリを公開している。

 19年度は同組合のメンバーであるクフウシヤ(相模原市緑区)がプログラムを担当。HSRにノートパソコン、カメラ、温度、脈拍センサーを搭載し、自律移動しつつ高齢者を探して前に立ち、顔を撮影して誰かを認識し脈拍と体温を測る。HSRの腕はプログラムが複雑になるため使わず、50センチ―80センチメートルほどの距離から非接触センサーで計測する。データは介護者に通知できるという。

 成果披露会では介護施設を見立てた会場でロボットを動かした。ただ、無線通信環境が悪く計測装置も信頼性が高くないなどの理由で、計測の中断やデータが取得できない事態が相次いだ。

 だが、同組合のメンバーは無線通信は改善できるとみる。クフウシヤの大西威一郎社長は「HSRと外部装置を接続し、サービスを提供するアプリの開発にめどがついた」と話す。クフウシヤはアプリ開発で得た知見を自社の自律移動型ロボットに活用し、実用化を目指すとしている。20年度はボード・プランニング(同緑区)がプログラムやアプリ開発を担当し、6月までに概要を決める。

 HSRは研究での利用が多く、市も「社会実装につながるアプリ開発には意義がある」(環境経済局)と評価する。同組合の杉本理事長は「20年度のテーマも介護関連のサービスにしたい。ロボット技術を高めることで市内産業の活性化につなげる」と意気込む。

日刊工業新聞相模支局長・石橋弘彰

最終更新:3/30(月) 13:11
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