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広島湾の海水温上昇、カキ育成に不安 広島県呉市沖で過去50年で最高

3/28(土) 21:27配信

中国新聞デジタル

 瀬戸内海の水温が高くなっている。この冬、広島県呉市音戸町沿岸では過去50年で過去最高を記録した。県水産課は「広島湾周辺はこの半世紀で最も高いレベルではないか」とみる。こうした海の異変は海産物にも影響を及ぼす。広島湾のカキは例年以上に早く卵を持ち始めた。早く生まれると水温や餌などの条件が整わず、成育不良になる恐れがあると専門家は指摘する。

【グラフ】広島県呉市音戸町沿岸の最低水温の推移

 県立総合技術研究所水産海洋技術センター(呉市)によると、近くの音戸町で毎朝9時に計る最低水温は今季、記録のある1970年以降で最も高い11・26度(2月9日)だった。2009年1月24日の10・8度を更新した。

 広島市農林水産振興センター(西区)も今季、広島湾の5地点で水深ごとに計った平均水温が平年より1度以上高かった。暖冬のまま春が訪れ、雪解け水の流入も少なかったためとみられる。

 暖かいと海の生き物の産卵が早まりそうだ。特に心配なのがカキ。広島湾で養殖業を営む「網文(あみぶん)海産」(西区)の網〓宗雄さん(46)によると、カキが卵を持ち始めるのはいつもは3月下旬だが、今季は2月下旬にも見られ、現在は水揚げ量全体の2割ほどに及ぶ。「これまで経験がないほど早い」と驚く。

 養殖業者は、カキの幼生をホタテの貝殻に付着させる採苗作業を、産卵期の7月から8月に合わせて行う。瀬戸内海区水産研究所(廿日市市)の浜口昌巳・干潟生産グループ長(58)は「それが1カ月ほど早まって6月に前倒されると困る」と懸念する。

 一つは風向き。7月以降は南風の傾向だが、6月は北から風が吹きやすく、広島湾の外に幼生が風で流されて貝殻に付着させにくい。さらに水温25度を超えないと、幼生が成長しにくいのも不安材料という。浜口グループ長は「温暖化の進行による悪いシナリオ。今年は注視する必要がある」と警戒感を示す。

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中国新聞社

最終更新:3/29(日) 12:21
中国新聞デジタル

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