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熊谷6人殺害事件で妻子を奪われた遺族 被告減刑で心情激白「自分で手を下すしかないのでしょうか」

3/28(土) 18:35配信

まいどなニュース

 2015年に埼玉県熊谷市で6人を殺害したペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告(34)に対し、昨年12月、東京高裁が一審の死刑を破棄して無期懲役の判決を出し、高検も上告せずに死刑の可能性がなくなったことを受け、家族3人を奪われた遺族の加藤さん(47)が弁護士とともに都内の日本記者クラブで会見し、その切実な思いを激白した。

【写真】殺害された加藤さんの妻と娘さん2人の遺影

 加藤さんは妻の加藤美和子さん(当時41)、長女(同小学5年)と次女(同2年)を自宅に侵入した被告によって殺害された。

 会見冒頭、加藤さんは「娘が生きていたら、長女は来月から高校生、次女は中学生になっていたはずです。私が会社員として働き、妻は専業主婦として私や子どもたちのために日々尽くしてくれ、娘たちは楽しく学校に通い、にぎやかに明るい毎日を過ごしていました」と平穏だった日常を語り、「それを一瞬にして壊された悔しさ、怒り、悲しみ、虚しさ、無念などの気持ちは言葉では言い表せません。そして(裁判は)理不尽の連続でした」と振り返った。

 加藤さんは被告に問うた。「私はバイロンに『なぜ、あなたは私の家族を殺したのか』と尋ねました。私の質問には真正面から答えませんでしたが、1度だけ『私は殺しました』と答えました。今でも、バイロンが思わず本心を打ち明けたと確信しています」と殺意を明確にした被告の責任能力を指摘した。

 ところが、東京高裁での控訴審では被告の「心神耗弱」を理由として無期懲役に減刑。被告は「警察やヤクザに殺される」などと繰り返し、精神疾患から来る「妄想」によって犯行に及んだとされたが、加藤さんは「全く納得できない判決。私の長女に性的なことをしており、縄で縛って無抵抗の人間に対して、どうして『自分が襲われるから殺した』と言えるのか。妄想とは全く関係ない。その大事なところに控訴審判決は一切触れていない」と核心を突いた。

 「当初は東京高裁に対する怒りが強かったのですが、今は検察庁に対する怒りの方が強いです。裁判員裁判の重大な結論を無視した控訴審判決に、検察庁は不戦敗したのです。一番悔しいのは検察が戦わなかったこと。検察は、絶対に勝てる自信がないと、控訴したり上告したりしないそうです。それはメンツのためでしょうか。検察は誰のために仕事をしているのでしょうか。自分の生活のためでしょうか」。そう訴えた加藤さんは、さらに「私は自分でバイロンに手を下すしかないのでしょうか」と悲壮な思いを吐露した。

 「(今の生活で)一番つらいのは精神的なもの。精神科で処方された薬を飲んでいます」と明かす加藤さん。最高裁が二審判決の無期懲役を維持するのか、無罪にするのかを判断することに付き合うことなるが、これは「いったい何なのでしょうか」と理不尽さを訴える。

 「加害者側には国選弁護人が付きますけど、こちらはお金がないと弁護士さんを雇えないという問題がある。また、現場写真のコピーが何千枚とあって何十万円という金銭的な負担もある。でも、私が諦めたら終わり」。被害者側から控訴審のやり直しを求めることは現行法では無理。それでも亡き家族のために戦い続けるという。

 「事件から4年半。まだ気持ちの整理が付かないが、今も残虐な犯罪を起きている。今後、同じような判決が出ないためにも、法改正をし、被害者の立場を考えて厳しい判決をして欲しいと個人的には思います。やるべきことはやらないと」。今後、加藤さんは弁護士と共に被害者側の上訴権を求めていく。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)

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最終更新:3/28(土) 23:59
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