ここから本文です

新型コロナ 身に迫る危機実感 NYから緊急帰国 岡山県倉敷市出身の留学生

3/29(日) 8:11配信

山陽新聞デジタル

 新型コロナウイルスの感染者が急増している米ニューヨーク州の大学に留学している岡山県倉敷市出身の男子大学生(21)が、事態の深刻化を受けて3月中旬に急きょ帰国した。「状況が日々めまぐるしく変わった。まだ心を整理できていない」。感染の可能性を考え、県内の宿泊施設で自主的に隔離生活を送る男性に、電話で話を聞いた。

 3月6日時点での44人が、8日に106人、11日には216人…。外務省から送られてくる電子メールに記された同州の感染者数は、日を追うごとに膨らんでいった。7日には同州知事から非常事態宣言も出た。

 県内の高校を卒業後、東京都内の大学に進学した男性は、交換留学生として昨夏渡米した。「対岸の火事」だった新型ウイルスは、3月に入って身に迫った危機と感じるようになった。

 大学から、下旬以降の講義をインターネット上で行うとの連絡が入ったのは11日。感染のリスクを抱えてまでとどまる理由がなくなったことで、日本人の留学生仲間と話し合って帰国を決意し、18日発の飛行機に乗った。

■消えた日用品

 急激な感染拡大に、米国社会も日本同様に揺れていた。

 大学の売店では、水や食料を段ボールごと大量に買う人たちを目にした。友人からは、近隣のスーパーの棚から洗剤などの日用品が消えていたという話を聞いた。

 今後の大学運営に関する情報も不十分で、構内の事務棟前に数十人の学生が集まり、デモのように大声を上げる場面にも遭遇した。

 米国ではマスクの習慣がなく、2月までは着用していると「それは何だ」と街中で声を掛けられた。3月に入るとマスク姿の人が増え「どこで入手できる?」と尋ねられることもあった。

 帰国直前の17日には、住んでいた大学寮から退出するよう要請を受けた。猶予は3日間しかなく「かつてない事態に大学の対応も後手に回った印象だった」。1万人ほどいるという全入寮生が対象で、町が一つ消えてしまうような衝撃があった。

■戻れない

 19日に岡山桃太郎空港に到着後、実家には戻らず宿泊施設で1人で過ごしている。体調に異変はないものの、帰国後14日間は外出や面会を最小限に抑えるつもりで、家族や施設スタッフとの接触も極力避けている。

 留学は5月下旬までの計画だったが、もはや米国には戻れない。4月からは元の大学に復学できるよう準備を進めている。

 日本国内でも「都市封鎖」の可能性が言及されるなど、いつ米国のような状況に陥ってもおかしくない。

 男性は「非常事態になれば大きな混乱が生じかねない。一人一人が自分の置かれた状況を基に考え、責任を持って対処しなければ」。今回の経験を振り返りながら語った。

 ◇

 米ニューヨーク州と新型コロナ 米ニューヨーク州は新型コロナウイルスの感染者が米国で最も拡大しており、在ニューヨーク総領事館によると、27日現在で感染者4万4870人(前日比7612人増)、死者527人(同142人増)。22日には企業の全従業員に在宅勤務を義務付け、住民に自宅待機を求める行政命令が出された。

最終更新:3/29(日) 8:11
山陽新聞デジタル

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事