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もがき続けた9年間「分断乗り越え地域を強く」 野球独立リーグ坂口氏が語った代表退任の心境

3/30(月) 10:32配信

47NEWS

 人口減少が急速に進む地域をスポーツの力で盛り上げようともがいた男が、四国を後にする――。野球の独立リーグ、四国アイランドリーグplusの坂口裕昭さん(46)は3月17日に取締役会長を退いた。前理事長の要請を受け2011年に神戸の弁護士から転身、数千万円あった自身の預金は底を突いた。地域活性化が思うとおりに進まない背景に、社会の分断を見た。独立リーグに力を尽くした9年間を振り返り「挫折感はあっても後悔はない」と語る。坂口氏に今の心境を聞いた。(聞き手、共同通信=浜谷栄彦)

*  *  *

 ―退任の理由は。

 「リーグ運営会社の今期決算は、売上が前年比で約3・5倍、経常利益は約2600万円、5期ぶりの黒字転換となる見込み。24時間、365日、リーグの発展を考え続け、自分としてやるべきこと、やれることは全てやり、一定の成果を出すこともできた」

 「ただ、その過程で、経営資源をリーグに集中させる私の考え方が、全球団、全経営陣の賛同を得られなかったのも事実だ。むしろ、私は常に少数派だった。リーグとして次のステージに進んでいくためにも、ここで対立構造を深めるより、私が身を引き、違う形で地域やスポーツ界に貢献していく道を選ぶべきだと考えた。最終的には、私を含むリーグ関係者の総意として、今回の退任となった。私を信頼してリーグのスポンサーになっていただいた皆さんに対するフォローは今後も続けていく」

 ―四国で過ごした9年で何を感じたか。

 「私はたくさん勉強したし、本も読んできた。弁護士にしては外に生きる人たちと交流を持ってきた自負はあった。ところが四国に来て、いかに狭い価値観の中で生きてきたかを思い知らされた。今の日本社会で起きていることは分断。地方の人はずっと地方。都会でビジネスをする人はずっとそのビジネスの世界にいる。関わりはあっても、それぞれの論理でしか話さないから溝が埋まらない。貧富の格差だけじゃない。知識、経験が偏り、みんな狭い世界で生きている。弁護士も同業者の世界で生きている。同時に9年という時間の重みも感じている。37歳から46歳までの時期を四国で過ごしたからこそ思うところは大きい。この9年間は私にとってのお遍路だった」

 ―地域のいがみ合いを目にしたこともあった。

 「四国にリソースがないなんて大うそ。自然環境、伝統産業と素晴らしいものはいっぱいある。良い会社もあるし、面白いことをやっている人もいる。にもかかわらず、なぜこの狭い四国でさらに狭い世界をつくるのか。たった四つしか県がないのに一つにまとまることができない。さらに、一つの県の中でも地域ごとにお互い対立していたり、無関心だったり。アイランドリーグの4球団ですら一つになるのは難しい。経済団体一つを取ってみても、複数の似たような組織が各地に縄張りをつくり、それぞれが独自の価値観で動く。ただでさえ疲弊している経済が分断されるし、権力闘争も多すぎる。今それをやっている場合じゃないだろう」

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最終更新:3/30(月) 10:42
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