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VRで炭焼き技術継承へ みなべ町で実証実験の結果報告

3/30(月) 16:35配信

紀伊民報

 VR(仮想現実)動画を生かした備長炭作りの技能継承に向け、和歌山県みなべ町で、町地域おこし協力隊と京都大学が取り組んだ実証実験の結果報告会が27日に同町芝の町役場であった。VR技術によって道具の感覚的な扱いなど技能が伝わりやすい効果があった一方で課題もあり、京大は今後も発展させていきたいとしている。

 研究に携わり、今月京大を卒業した奥野雄太さん(22)が結果を報告した。実証実験は昨年、町職員や町民などの協力を得て実施し、窯の温度を冷まさずに質の良い炭を焼くため、道具を使って原木を外から窯の奥の壁に立てていく「はね木」の技術を対象とした。

 その技術を協力者が、テキスト教材と定点動画、VR動画の3種類の方法で学んだ上で実際に作業してもらい、自己評価してもらったり、作業するビデオ映像を県木炭協同組合代表理事の原正昭さん(49)が見て評価したりした。

 VR動画は、他の方法に比べて「奥へ木を運ぶ時の道具の使い方が分かった」という割合が大きいなど、道具の感覚的な扱い方や手の動きについて高い伝承効果があり、分かりやすい、見やすいといった主観的な理解の向上につながった。

 一方で、課題としては、360度見渡せる半面、どこを集中して見ればよいか分かりにくい他、実際の技能習得には、身体的な訓練を伴う必要があると報告があった。

 京大大学院の鬼塚健一郎准教授(43)は「VRで、物を置いて触ったり、体験したりということもできる。そうしたことも取り入れて炭焼き技術や文化の伝承に生かせないかと次のステップとして考えている。備長炭振興館をデジタル空間にして、遠隔地の人も訪ねられ、炭焼きの内容を見ることができるというようなことにも活用できる」と今後の可能性を話した。

 今月で退任する町地域おこし協力隊の青木友宏さん(29)も「窯出しなど、炭焼きの作業は見たいと思ってもなかなか見ることができず、観光面ではその場面を見て、体験することにもVRが使えると思う。炭焼きだけでなく、ウミガメの産卵などの海、また梅の作業など他の場面でも使えると思う」と語った。

 今回の取り組みで、町はVR動画の撮影カメラと視聴するためのゴーグルを1セット導入しており「新たな町地域おこし協力隊の人に取り組みを引き継いでもらい、大学とも連携し、炭焼き技術の伝承に活用していきたい」という。

紀伊民報

最終更新:3/30(月) 16:35
紀伊民報

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