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損をしないために知っておきたい! 公的年金の繰り下げ受給と繰り上げ受給

3/30(月) 7:50配信

ファイナンシャルフィールド

老後の心強い味方である公的年金、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)。受給は原則65歳からですが、いずれも60歳から70歳まで1ヶ月単位で受給時期を前倒しまたは後倒しできます。

平均寿命が延伸し老後資金の負担も大きくなる中、65歳以降の年金受給が少しずつ注目されてきています。本稿では、公的年金の繰上げ・繰下げについて見ていくとともに、利用時に押さえておきたいポイントをまとめてみたいと思います。

公的年金の繰上げ・繰上げとは

●繰上げ(65歳受給開始を前倒し)
繰り上げた月数に応じて年金額が1ヶ月あたり0.5%減額されます。繰上げ受給したときの受給総額が65歳から受給したときの受給総額と並ぶ年齢、すなわち損益分岐点は約17年後です。

(例)60ヶ月繰り上げて60歳から受給すると、65歳から受給した場合に比べ、年金額は30%少なくなります。77歳以上存命であれば65歳で受給するよりも総年金額が少なくなります。

●繰下げ(65歳受給開始を後倒し)
繰り下げた月数に応じて年金額が1ヶ月あたり0.7%増額されます。損益分岐点は約12年後です。

(例)60ヶ月繰り下げて70歳から受給すると、65歳から受給した場合に比べ、年金額は42%多くなります。82歳以上存命であれば65歳で受給するよりも総年金額が多くなります。

2019年の簡易生命表によると、65歳の平均余命は男性が19.70年、女性が24.50年です。キャッシュフローに余裕があれば繰下げするほうが良いかもしれません。

受給で損をしないために知っておきたいポイントは

減額または増額された年金は、一生涯そのままの金額です。繰上げ・繰下げの主な注意点を以下に記します。

●繰上げ
・老齢基礎年金・老齢厚生年金、両方同時に繰り上げます。
・繰上げ後に配偶者が死亡した場合、65歳までは老齢年金と遺族年金の選択となり、65歳以降受給できる老齢年金は繰上げ時の額です。
・繰上げ後に障害年金の対象になっても受給できません。
・国民年金の受給額を増やしたくても任意加入や追納はできません。
・妻が繰上げ後に自営業者等の夫が死亡した場合、寡婦年金の支給要件に該当していても受給できません。

●繰下げ
・老齢基礎年金・老齢厚生年金、別々に繰り下げできます。
・年金額が増える分税金や社会保障の負担も増えるため、額が多ければ多いほど手取りベースの損益分岐点が約12年より延びていきます。
・働きながら年金受給する場合、在職老齢年金制度で減額された厚生年金の部分は繰り上げても増額の対象外です。
・原則65歳になれば配偶者が65歳になるまで受給できる加給年金は、厚生年金の繰下げの間は支給されず、増額もありません。
 また、加給年金の対象の配偶者が老齢基礎年金を受給するときの振替加算も、繰上げの間は支給されず、増額もありません。支給要件に該当する場合は注意しましょう。
・65~66歳の1年間に、遺族年金や障害年金など他の年金の受給権者となった場合、老齢年金の繰下げはできません。
・老齢年金は、66歳以降に他の年金の受給権を得た時点で増額率が固定されます。

今後の流れとしては、繰上げの減額率を0.4%に緩和、受給開始年齢を75歳まで引き上げ(65歳受給に比べ84%も受給額が増加)が検討されています。

人の寿命はわかりませんし、家庭ごとの資産状況やライフプランも異なるため、最適な受給開始時期は一概にいえません。まずは無収入の期間が生まれないようにするなど、無理しないファイナンシャルプランを心がけましょう。

年金制度も複雑なため、年金事務所や専門家に相談・確認して決めるのもおすすめです。

(参考)
厚生労働省年金局「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
厚生労働省「平成30年簡易生命表の概況」
日本年金機構「老齢基礎年金の繰上げ受給」
日本年金機構「老齢厚生年金の繰下げ受給」
日本年金機構「繰上げ請求の注意点」
日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」
日本年金機構「老齢厚生年金の繰上げ受給」

執筆者:うらのまさこ
不動産業界出身のFP

ファイナンシャルフィールド編集部

最終更新:3/30(月) 7:50
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