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中国は新型コロナで”国民との約束”を守れなくなった。2020年の成長率「1.5%」予測の衝撃

3/30(月) 7:55配信

ハフポスト日本版

中国の2020年のGDP(国内総生産)実質成長率は1.5%程度にとどまるー。

衝撃的な予測が日本のシンクタンクから発表された。

これは、中国政府の今年の成長目標を大幅に下回るどころか、数年かけて達成を目指していた国民との「公約」を反故にしてしまう数字だ。

ここまでの予測に至った理由と、今後に潜むリスクは何か。予測を発表した大和総研の齋藤尚登・主席研究員を訪ねた。

「壊滅的」

「壊滅的に悪かった。あの数字が出てから、相当な下方修正を余儀なくされました」齋藤さんが指摘したのは、3月16日に中国政府が発表した、2020年1月から2月にかけての経済状況に関する統計だ。


この時期中国では感染拡大の終わりが見えず、武漢市を事実上の封鎖にしたうえ、広い範囲で外出制限などが敷かれていた。それは数字にも明確に現れ、一般の人たちの消費の動向を示す「小売」は前年比でマイナス20.5%。自動車販売やレストランの売り上げなどが急激に落ち込んだ。齋藤さんは次のように解説する。

「中国の感染拡大防止策は、EUやアメリカがやっている対策の最も厳しいものと言えます。人との接触を禁止し、移動を制限したため、娯楽や観光に影響が出ました。また、マスクを生産する場合などを除き、ほとんどの職場は春節(旧正月)休みが延期され、工場なども稼働できなかった。
さらに、農民工(地方から都会にやってきた出稼ぎ労働者)が職場に戻れるタイミングもバラバラで、職場が再開しても生産までに時間がかかったのです。生産、消費、固定資産投資、全てが壊滅的な悪影響を受けました」

「コロナの収束と景気の安定を両立させるのは不可能です」と齋藤さん。景気が良くなるためには、ヒト・モノ・カネが社会を血液のように循環する必要がある。一方で、新型コロナ対策は他人との接触や外出を抑制するため、その逆を行くようなものだ。感染拡大防止に重点をおいた中国で、景気が悪化するのは当然の帰結だった。

齋藤さんはさらに、2003年ごろに中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)とも影響の大きさは段違いだと指摘する。

「新型コロナは世界各国に拡散しました。1~2か月遅れでアメリカやヨーロッパが中国と同じような状況になります。生産や経済活動が全面的に停滞し、中国で起きたことがそのまま欧米で起きます。中国にとって、時期がずれるだけ、輸出先の需要が戻るのが遅れる可能性は極めて高い」

仮に国内の消費が戻っても、輸出先の海外がモノを買ってくれる状態ではないかもしれない。それが国内企業の業績回復の遅れなどにつながり、悪循環を続かせる原因となりかねない。

さらに、中国国内でも、コロナが収束してもなかなか消費が戻らない可能性があるという。

「中国の政策のトップ・プライオリティ(最優先事項)は雇用の維持です。企業への税金や費用を減免しました。潰れそうな企業にはとにかく輸血(資金の供給)をし、賃下げをしても雇用を維持するよう要請しました。
しかし、失業率はポンっと上がってしまった。コロナが収束しても、雇用や所得が心配で、戻りは鈍いのかもしれません」

こうした状況から、齋藤さんは1~3月は-7%とマイナス成長になると予測している。それ以降では、大まかに4~6月は-1%、7~9月からはプラスに転じ6%、10~12月は7%成長となると見ている。7月以降は中国政府の景気刺激策も勘案しているが、通年では1.5%となる、という見立てだ。

ちなみに、この予測は6月末までに欧米でも収束の道筋が見えた場合のものだ。これが後ろにずれ込めば、さらに下方修正される可能性もある。

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最終更新:3/30(月) 12:34
ハフポスト日本版

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