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地方鉄道が人手不足 わたらせ渓谷鉄道→観光列車減便/上毛電鉄、上信電鉄→作業員の確保困難…

3/30(月) 6:05配信

上毛新聞

 群馬県内で地方鉄道の人手不足が深刻化している。わたらせ渓谷鉄道(みどり市)は運転士が足りず、観光客向けのトロッコ列車「わっしー号」の運行本数を4月から半減させることを決めた。上毛電鉄(前橋市)と上信電鉄(高崎市)も、線路や車両を整備する作業員の確保に頭を悩ませている。大手鉄道会社への人材流出などが課題だが、人員不足が続けば安全性の低下や事業縮小による収益悪化を招きかねない。専門家は公的支援の拡充や住民による利用促進を訴えている。

◎減便 安全のため「やむを得ない判断」

 わたらせ渓谷鉄道は3月末で運転士が1人退職することを受け、わっしー号の本数を年間150本から75本に減らす。これまでも欠員が1人生じていたが、2人不足することになり、やりくりが難しくなったという。

 同鉄道は、収入の7割近くを観光客などによる定期外旅客収入が占める観光路線。わっしー号は秋の行楽期には満席になることもある人気列車で、減便の影響は大きい。品川知一社長(61)は「安全性を確保する上でやむを得ない判断だった。売り上げに影響が出るだろう」とみる。

 人手不足は業界全体が抱える問題だ。大手鉄道会社は中途採用を進める一方で、地方鉄道は人材流出に苦しむ。上毛電鉄は大手への転職を含め、入社後数年で離職する若手が多く、慢性的な人手不足感があるという。同社の福田史朗監査役(75)によると、運転士の免許を取得させるには最短でも2年間の教育が必要だといい、「時間と費用をかけて育てたところで辞められてしまう」と頭を抱える。

 架線を点検する「電気係」や、線路を保守する「保線係」の作業員もそれぞれ1、2人足りていない。福田監査役は「安全に関わる仕事なので誰でもいいというわけにはいかない。地道に採用を続けていくしかない」とため息をつく。

 上信電鉄は電気係が4人不足しているほか、車両修理を担う「検修係」も若手が入ってこないという。定年退職者を再雇用して対応するが、宮川良伸総務部長(59)は「技術の継承ができない」と嘆く。大手との待遇差などを背景に応募は減っており、「常に何らかの求人を出している状況」という。

 県は、工業高校にこれら3社を就職先として紹介するなどの取り組みを進める。県交通政策課は「経営的な支援だけでなく、働き場としての魅力発信も強化したい」としている。

 公共交通に詳しい高崎経済大の大島登志彦教授(交通地理学)は「自治体による支援に加え、県民が鉄道の価値に目を向け、利用する機会を増やす必要がある」と指摘している。

最終更新:3/30(月) 6:05
上毛新聞

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