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【医師に聞く】がん手術後のむくみ「リンパ浮腫」には効果的な外科併用治療の選択肢を

3/31(火) 16:41配信

Medical DOC

がんなどの手術がきっかけで“むくみ”を起こすことがあるそうです。これは、れっきとした進行性の病気で、「リンパ浮腫(ふしゅ)」といいます。患部のマッサージや圧迫といった「保存的治療」が多くおこなわれるなか、形成外科専門医の苅部先生によると、手術を用いた「外科的治療」も可能なのだとか。どのように使い分けていくべきなのか、最前線の事情をうかがいました。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

【この記事の監修ドクター】
苅部淳先生(麹町皮ふ科・形成外科クリニック 院長)
順天堂大学医学部卒業。東京大学附属病院形成外科入局後、埼玉医大総合医療センター形成外科・美容外科助教、福島県立医大付属病院形成外科、寿泉堂総合病院形成外科、山梨大学附属病院形成外科助教・医局長などを歴任。2019年、東京都千代田区にて「麹町皮ふ科・形成外科クリニック」を継承・リニューアルオープン。皮膚科、形成外科疾患の一般治療ほか、リンパ浮腫治療や性同一性障害の治療なども手がけている。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢学会専門医、日本医師会認定産業医。日本美容外科学会、日本美容皮膚科学会、日本顔面神経学会、日本東洋医学学会などの各会員。

保存療法と手術を併用するのが効果的

編集部:
なかなか耳慣れない「リンパ浮腫」ですが、むくみの一種と考えていいのでしょうか?

苅部先生:
見た目としては一緒です。一般的なむくみは、飲んだ水分などが血管の周りにたまることで起こり、誰でもなりえます。また、重力の関係から脚や腕の先に生じやすく、寝ると軽減することがあります。

編集部:
一方の「リンパ浮腫」についても説明してください。

苅部先生:
リンパの流れが停滞することでむくんだ病気で、横になってもほとんど治りません。原因としては、がんなどの手術でリンパ節を取り除いた「続発性」が7割から8割。残りは、先天性や原因不明の「突発性」です。いずれにしても、体のどこにでも起こりえるのが「リンパ浮腫」の特徴といえるでしょう。加えて進行性ですので、症状が次第に悪化していきます。

編集部:
むくみに悩んでいる患者は多いと思います。受診フローを整理していただけますか?

苅部先生:
わかりました。がんの治療にかかわらず、リンパ節やリンパ管の手術後にむくんできたら、「リンパ浮腫の“外科的手術”を扱っている医院」を受診してください。「リンパ浮腫外来」を掲げる医院は少なからずあるものの、手術のできる医院となると限られますので、注意しましょう。

編集部:
リンパ系の手術をしたことがなければ、循環器科を受診すべきでしょうか?

苅部先生:
その場合でも、「リンパ浮腫の外科的手術を扱っている医院」を受診する意義は大きいと思います。なぜなら、リンパの流れを調べられる専門的な検査ができるからです。結果として単なるむくみであったとしても、もちろん治療や紹介が可能です。経験則からすると、生活に支障が出るほどのむくみの7割以上は、リンパ浮腫ですね。

編集部:
ここではリンパ浮腫に限定するとして、治療方法を教えてください。

苅部先生:
保存的治療と外科的治療があります。保存的治療の中身としては、浮腫部分の圧迫(弾性ストッキングの処方)や、リンパドレナージ(マッサージ)、スキンケアなど。ただし、対症療法に過ぎず、根本的な治癒には至りません。そこで、貯まったリンパ液を静脈に流すための外科的治療が用いられます。

編集部:
どうやってリンパ液を静脈に流すのですか?

苅部先生:
滞りを起こしているリンパ管の手前の部分から最寄りの静脈へバイパスをつくります。1患部あたり1カ所の施術でも、まずは「流れるようにする」ことが重要で、保存的治療の効果も上がります。なお、この手術には、保険の適用が可能です。

編集部:
一般的に保存と手術では、どちらが“よい”のでしょう?

苅部先生:
もっとも好ましいのは「併用」です。ただし、「リンパ浮腫の外科的手術を扱っている医院」は少ないため、実質、保存的治療のみで進められることが多いようですね。また、「手術でも治せるんだ」ということ自体が知られていないように思います。

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最終更新:3/31(火) 16:41
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