「私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい!」
2年前に自死した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの妻がネット上で署名活動を始め、多くの賛同を集めている。私もその呼びかけにもろ手を挙げて賛成したい。言いたいことはそれに尽きる。だから、ここでキーボードを打つ手を止めてもいいのだが、それでは意が伝わらないかもしれない。
安倍首相や麻生財務相はなぜ、かたくなに調査を拒否するのか。2人が国会や記者会見で述べている理由をみると、赤木さんが書き残した手記と、2018年6月に公表された財務省の調査報告書との間に「大きな齟齬はない」「大きな乖離はない」ということに尽きるようだ。
赤木さんの手記は「すべて、佐川理財局長の指示です」と述べる。スクープした週刊文春も、それを一番の見出しに掲げて、首相や財務相に突きつけた。一方、財務省の報告書は佐川氏について「改ざんの方向性を決定付けた」と結論し、明白な指示は認めなかったものの、責任を問うた。表面上の文言だけでなく、実質的な指揮・支配を重くみたともいえる。
そう考えると、「すべて指示」と「方向性を決定付ける」との違いは、そう大きな齟齬ではないと評価することも、ぎりぎり可能かもしれない。
実は、このたび財務省の報告書を読み返して、かなり驚いた。赤木さんの手記に背反しない範囲で事実をまとめ、表現しているようにも読めるからだ。遺族や内部の誰かが後になって“告発”しても、報告書の骨格が崩れないように、限界まで防衛線を下げているようにみえる。
赤木さんや赤木さんの部下たちの抵抗についても、具体的ではないが、無視せず記載している。その点でも、なんとかバランスを保っているようだった。
そこで百歩譲って、首相や財務省のように、大きな齟齬がないという立場に立ったとして、それでも調査を求める理由を述べたい。それは結果として「大きな齟齬がない」という評価への、本質的な反駁になるはずだ。
安倍首相や麻生財務相がすがる財務省報告書の文書名は「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」である。タイトルはこの調査に対する自己規定であり、自ずから限界があることを示している。つまり調査目的は、決裁文書の改ざんがなぜ、どのようになされたか、誰にどれほどの責任があるのかを究明することなのだ。すべての事象は、その目的との距離によって取捨選択される。
最終更新:4/1(水) 12:51
47NEWS
































読み込み中…