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「人材派遣」は“不遇な働き方”は本当か? データと資料が解き明かす、知られざる実態と課題

4/1(水) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 「人材サービス」が有する“機能”にフォーカスしたとき、どんな存在意義があり、何が課題なのか。求職者側から見たニーズの違いから特徴的なキーワードを挙げて考察します。なお、考察にあたっては、多岐に及ぶ人材サービスの中でも民間事業者が提供する労働力需給調整機能に絞って取り上げ、カッコ書きで「人材サービス」と表記します。

【画像】全雇用者のうち、「派遣」が占める割合

 今回、取り上げるキーワードは「人材派遣(働く側から見ると労働者派遣)」です。おそらく「人材サービス」の中で最も誤解が多く、また最も課題も多いサービスだと思います。

 総務省が発表している労働力調査によると、2019年に非正規と呼ばれる雇用形態だった人の数は平均して「2165万人」でした。非正規のデータを巡っては、「度重なる規制緩和によって派遣社員が増えたので非正規雇用も増えた」と指摘する声があります。また、「派遣社員は正社員になれない人が致し方なく選ぶ不遇な働き方だ」というイメージも定着しています。さらに、15年に労働者派遣法の改正が行われた際には、「規制緩和によって正社員はゼロになり、働く人は派遣社員ばかりになる」といわれました。

 しかし、これらは全て誤った情報です。

データから見る派遣の「真実」

 まず派遣社員の数ですが、先に挙げた19年の労働力調査では141万人です。確かに多くの人が派遣社員として働いていますが、非正規と呼ばれる雇用形態2165万人に占める割合は6.5%に過ぎません。

 つまり、非正規雇用で働く人のほとんどは、パートやアルバイトなど「派遣社員ではない人たち」なのです。派遣社員も年々増えてはいますが、「圧倒的多数」というほどの規模ではありません。

 また、派遣社員として働く事情は人それぞれです。

 先の労働力調査では、その雇用形態で働く理由も集計しています。19年データを見ると、派遣社員のうち、働く主な理由として回答が最も多いのは「正規の職員・従業員の仕事がないから」で30.8%。しかし、後の7割弱はそれ以外の理由です。

 詳しく見ると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」(23.3%)、「家計の補助・学費等を得たいから」(11.3%)、「専門的な技能等をいかせるから」(8.3%)、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」(7.5%)、「通勤時間が短いから」(4.5%)と続きます。少なくとも約半数の人は、さまざまな事情から「あえて」派遣という働き方を選んでいることが分かります。

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最終更新:4/1(水) 8:00
ITmedia ビジネスオンライン

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