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新型コロナで延期となった東京五輪 「無観客」でも分かれた各界の対応と問われる「スポーツビジネス」の本質

4/1(水) 11:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 新型コロナウイルスの感染拡大により、ついに東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まりました。ここまで「2020年」を目指してきたスポーツ界の盛り上がりが、一気にしぼんでしまいかねない状況です。今、スポーツ、そして興行の世界はかつてない困難に直面しているといえるでしょう。

【画像】大相撲は無観客で開催した

 男子バスケットボール「Bリーグ」の3部(B3)に属する埼玉ブロンコスの株式を取得し、オーナーに就任した私にとっても、対岸の火事ではありません。政府は早くスポーツや興行の世界、五輪の延期によって資金繰りが悪化する企業に対して、セーフティーネットとなる制度を細かく発表し、説明してもらいたい、というのが切なる思いです。スポーツ、興行は今や第3次産業の範ちゅうを超え、背負っているものが大きくなっていることを忘れてはいけません。

 一方で、今回の事態で浮き彫りになることもあります。それは、各競技や組織が「どこを向いているのか」「誰のためにあるのか」ということです。例えば大相撲。無観客で行われた春場所の中継をNHKで見ましたが、ある種異様な光景といえるものであったと同時に、興行の世界とは出自を異にする“神技”としての一面を感じられたのは、それはそれで驚きであり、学びでもありました。対照的に、プロ野球やJリーグは開幕、リーグ再開において、まず「無観客」ではなく「延期」という選択をしました。

 私が11年12月に横浜DeNAベイスターズの球団社長に就いた際、最初に野球界に長くいた人から言われた印象的な言葉があります。

プロスポーツとオリンピックの違い

「俺たちはオリンピックをやっているんじゃないんだ」

 ベイスターズでは、試合前の選手にファンサービスをしてもらったり、イニング間にはファンがグラウンドでフライをキャッチするイベント(「ドッカーン! FLYCATCH」)などを行うことで、その枠にスポンサーをつけたりしました。それができたのは、まさにこの言葉が考え方の根底にあったからです。

 オリンピックを開催しているのではなく、スポーツエンターテインメント、昔の言葉で言えば興行をファンの皆さんに提供しているという意識があったからこそ、これまでタブーとされてきたことに迷わず取り組むことができたのです。平和を願い、国を背負ってメダルの色を競うオリンピックなら話は違うかもしれません。しかし、プロスポーツは結果や順位だけを見せているわけではないのです。

 スポーツは誰のためにあるのか。米プロバスケットボールNBAの看板選手、レブロン・ジェームズが3月27日にPodcastの番組に出演し、発信した言葉も象徴的でした。

「ファンがいない中でスポーツと呼べるのか。(無観客なら)そこに興奮はないし、歓喜すらない」

 レブロン・ジェームズは過去にも「ファンがいないなら俺はプレーしない」という趣旨の発言をAFP通信などにしていましたが、プロスポーツがライブエンターテインメントビジネスとして成熟している米国では、それだけファンの存在が大きく、ファンのほうを向いて成り立っているということです。

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最終更新:4/1(水) 11:00
ITmedia ビジネスオンライン

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