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ひと息でどこまで潜れるかを追い求めた30年 不慮の事故で亡くなったフリーダイビング選手

4/1(水) 9:02配信

AbemaTIMES

 昨年7月、素潜りの深さを競うフリーダイビングで日本人初の世界記録を樹立した木下紗佑里選手(本名=紗由里、当時30歳)が不慮の事故で亡くなった。紺碧の世界で、ひと息でどこまで潜れるかを追い求め続けた30年だった。

【映像】映像で見る木下紗佑里選手の軌跡

 潜る楽しさをその身にまとい、自在に泳ぎ回る姿は“リアル・マーメイド”。酸欠で失神する“ブラックアウト”の恐怖と向き合い、「もっと先へ」と潜降し続けた。さらなる活躍を期待されながらも夭折した、“世界一マーメイド”木下紗佑里さんの生涯に迫る。

■愛してやまなかった「海の日」に帰らぬ人に

 映画『グラン・ブルー』で知られるフリーダイビング。紗佑里さんが目指していたのは、日本人が成し得たことのない世界新記録。水中では、暗い海への先を目指しひたすらロープを手繰る。潜る直前、目を閉じ、呼吸を整え、「無の境地」へと入る。大きな夢に向かい、大好きだった沖縄の海で練習に励んでいた。

 発祥のヨーロッパでこそ盛んだが、日本では馴染みが薄く、競技人口も少ないマイナースポーツ。アルバイトやスポンサー探し、クラウドファンディングなどをしながら世界記録に挑んでいた。

 何から何まで一人でまかなわなければならない状況。それでも紗佑里さん「孤独じゃないですよ。意外と。ちゃんとみんなで練習するし、一人が潜っている時、上の人はそれをしっかり見ながらやるから安心感はすごくありますね。孤独というか一人で無音の贅沢な時間が流れてる」と話していた。

 しかし去年7月11日の早朝、自宅アパート4階の部屋の鍵が壊れていたため自宅屋上からベランダ伝いに入ろうとしたところ、誤って転落。4日後、愛してやまなかった「海の日」に、30歳の若さで帰らぬ人となった。

■27歳、競技歴3年で世界記録を更新

 紗佑里さんの相棒“バディ”を務めてきた廣瀬花子さん(33)。2013年2月、24歳だった紗佑里さんは、花子さんの初心者講習を受けたのをきっかけに、フリーダイビングを始めた。以来、並外れた肺の機能と無酸素運動能力を持ち、優に6分以上も息を止めていられる2人は、フリーダイビング女子日本代表“人魚JAPAN”の一員として世界と戦ってきた。

 2016年、紗佑里さんはフリーダイビングの種目の中で最も過酷な、フィンをつけず自分の泳力だけで潜るCNF種目で72mの女子世界記録に挑んだ。世界記録がかかる大一番、周りに見守られながら水中へと潜っていく。“フリーフォール”と呼ばれるテクニックを使いながらより深いところを目指す。水圧で肺が圧縮され、浮力を失った体を事前に申告した深さまで沈めていく。

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最終更新:4/1(水) 9:02
AbemaTIMES

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