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「テレビは子どもに悪影響」は本当? 親が気をつけることは? 専門家に聞く

4/1(水) 11:22配信

朝日新聞EduA

「うちの子、放っておけばテレビばかり見ていて……」。昔も今も、そんなふうに嘆く保護者は多いのでは? とはいえ、子どもが好んで見る民間放送のバラエティー番組などは、本当に子どもの教育に悪い影響を及ぼすのでしょうか。多くの子どもにとって欠かせない娯楽であるテレビとの付き合い方について、メディアの子どもへの影響を研究テーマにする社会学者に話を聞きました。

話を伺った人 渋谷 明子さん 社会学者・創価大学文学部教授

(しぶや・あきこ)
創価大学文学部人間学科教授。ミズーリ大学コロンビア校ジャーナリズム研究科で修士号、慶應義塾大学大学院社会学研究科で博士号をそれぞれ取得。研究テーマはメディアの子どもへの影響、メディアの外国イメージ、テレビ番組などのメディアを媒介にした家庭内コミュニケーション、テレビゲームの影響など。

テレビが子どもに与える影響とは

――子どもがテレビ番組に夢中になることを心配する親は少なくありません。実際のところ、テレビを見ることによる悪影響はあるのでしょうか。

まず前提として、「テレビの視聴時間が長すぎることはよくない」ということを示す研究があります。これは、テレビを長く見すぎることでほかのことをする時間がなくなってしまうという側面があるからです。これはテレビに限らず、スマホやゲームでも同じです。あまり長い間テレビを見ていると、目が疲れてしまいますから。

――では内容が与える影響はどうでしょうか。民間放送のバラエティー番組でよく見られる芸人同士の“いじり”の場面や、ドラマの過激な暴力シーン、性描写などを心配する保護者もいます。

子どもたちにとって格好いいと思えるキャラクターが飲酒や喫煙をしている、過激な暴力シーンや性表現にショックを受ける、男女の性役割観が刷り込まれる、下品な言葉をまねする……など、テレビ番組が子どもに望ましくない影響を与えてしまう場面も確かにあるでしょう。

ただ、テレビが子どもに与える影響について、因果の方向をはっきりさせた研究は、暴力シーンや男女の性役割観を除けば、まだ少ないんですね。欧米でも盛んに研究はされていますが、実際に子どもたちに過激な暴力シーンや恐怖シーンなどの映像を見せる、といった実験を行うこと自体がまず難しいですから。

――「テレビを見る行為は受け身、だから自発的に考える能力が衰える」という意見を聞いたことがありますが、本当でしょうか。

それも一概にそうとは言えないんですね。たとえば、1970~1990年代の海外の研究で、『セサミストリート』を見た幼児は語彙力や計算力が上がった、という調査結果があります。

『セサミストリート』はそもそも教育目的で制作されたテレビ教育番組で、語彙力や計算力などが高くなる効果が見られました。そのほかの子ども番組でも、よいマナーの学習、ジェンダーや職業に対するステレオタイプなどで、効果が見られた研究もあります。

何かを学ぶという点では直接体験することが一番ですが、映像による視覚情報は子どもに興味を抱かせるという意味ではとても有効なんです。

映像を見ることによって、理解が深まったり、好奇心が促されたりするなど、学習意欲が刺激されていい方向に働く場合もあるのです。

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最終更新:4/1(水) 11:22
朝日新聞EduA

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