新型コロナウイルスに感染して治療していた志村けんさんが、29日深夜に死去したことが明らかになり、日本中に衝撃が走っている。今更ながら、怖いウイルスだと再認識させられた国民も多いと思う。
3月23日、小池都知事は会見し、東京都における新型コロナウイルスの感染拡大について、「今後3週間がオーバーシュートが発生するかどうかの重大な分かれ道」とし、オーバーシュートの場合、東京都の「ロックダウン」も検討と述べた。
さらに、25日には、緊急会見を開き、「不要不急の外出を避ける、平日も自宅勤務を推奨し、夜間外出は避ける」ことなどを都民に要請した。また、隣接する千葉、埼玉、神奈川、山梨県の知事も足並みを揃えて、県民に同様な要請を行った。
3月24日に東京五輪について安倍首相とIOCのバッハ会長が電話会談をして1年の延期を決めたが、このことと、その後の感染者数の急増が関連しているのではないかという疑問も出されている。
大臣や知事を歴任した経験から、情報発表のタイミングなどを政治的に決めることはあるし、情報の出し方を工夫したり、操作して、自らの政策を正当化することもある。
特に問題は、感染者の内訳を詳細に発表しないで、総数だけ大袈裟に、そして先走って発表することである。問題は、感染経路不明者であるが、これが大半を占めているわけではない。また、重症者か軽症者かの説明もない。大多数が軽症者か無症状者なら、大騒ぎする必要はないはずである。
そもそも、PCR検査が十分に実施されていないために、実際に日本に何人感染者がいるのか分からない状態である。
たとえば、福井県では感染者が1人であったのに、最近になって基準を緩和してより多くの人に検査したところ、一気に感染者が11人増えた。この例などは、検査を増やせば感染者が増え、減らせば感染者も減るということを示している。
厚労省は、正確な検査実施数を都道府県別に公表し、マスコミをそれを伝えるべきである。そうしないと、検査数の変遷と感染者数の推移の相関関係が分からなくなる。
その関連でも、問題になるのが「集団免疫(herd immunity)」論である。集団免疫とは、ある集団の構成員の6~7割が感染し、免疫を獲得すれば、彼らが残りの3~4割を守ってくれるために、感染が収束するという考え方である。
ワクチンを接種するのは、あらかじめ病原体に対する免疫(抵抗力)を作り出すためで、自ら軽く感染して先に免疫を作るのである。実際に感染して治った人は、免疫ができているので、同じ病原体に襲われても抵抗できる。集団免疫とは、そのような人が集団の多数になることを意味する。
今は、じわじわと感染者数が増えているが、これまでは、欧米に比べて、感染者拡大のスピードは緩やかであった。それは、なぜなのか。世界も注目しているが、実はシンガポールも同じで、緩やかにしか感染者は増加していない。
両国は、12月頃から多数の中国人観光客が訪れており、当然多くの住民が接触する機会があったと思われる。そのため、日本列島やシンガポールの住民が感染したが、症状が無かったり、軽い風邪程度で治ってしまったたと考えることも可能である。感染した人には免疫ができる。
大胆に言えば、日本では集団感染的になっていると言えるかもしれない。いったん感染したものの完治した人は、PCR検査をしても陰性になる。同じ陰性でも、免疫を持っている人(感染して治癒した人)とそうでない人(まだ感染していない人)は、抗体検査をすれば分かる。
欧米でこの検査を実施する検討に入ったが、それは免疫を持っている人を職場に戻したいからである。とくに、欧米では治療現場で悲鳴があがっており、医師や看護師など医療従事者が不足している。免疫を持つ医療従事者が大きな戦力になるのである。
もう一つ注目すべきは、阪神の藤浪投手が嗅覚喪失を訴えて、PCR検査をしたところ、陽性と判明したことである。中国で8万人以上が感染したのに、この嗅覚や臭覚の喪失という症例は報告されていなかった。ところが、欧米に感染が急拡大するに及んで、幾つもの症例が報告され、日本でも同様なケースが次々と出てきているのである。
中国の場合、重症患者の治療に手一杯で、軽症者や症状のでない者に対して、十分な注意がされなかったためかもしれないが、もし、この現象が最近の話だとすると、ウイルスの当然変異が起こっている可能性もある。その点でも、詳細な症例研究が必要である。
厄介なウイルスとの戦いは、これからも続く。
舛添 要一 (国際政治学者)
最終更新:4/1(水) 12:10
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