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シャープが作ったマスクの実物を見た - 新規参入の理由、入手方法は?

4/2(木) 18:58配信

マイナビニュース

ここに、1枚のマスクがあります。3月24日にシャープが生産開始を発表した、不織布マスクのサンプルです。

【写真】シャープ製マスクを着けて横から見たところ(初出時、マスクの表裏が逆になっていたので差し替えました)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でマスクの品薄状態が続く中、大手電機メーカーであるシャープがマスク生産に乗り出したのはなぜか、どのようないきさつがあったのか。同社広報へのメール取材と、マスクの実物から見えてきたことをお伝えします。


【お詫びと訂正】初出時、マスクのサンプル品の表裏を取り違えていたため、記事中の写真を正しい装着時のものに差し替えました。プリーツ(ひだ部分)を広げたときにできるポケット部分が下を向くのが正しいつけ方です。お詫びして訂正します。なお、マスクの耳ひもがついている位置は製品によって異なります(2020年4月3日 12:10)


とにかく、どこにもマスクがない

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。感染拡大を受けてマスクが買い占められるなど社会不安が高まっており、お店にマスクが入荷されてもすぐに売り切れることが日常化しています。こうした事態を受けて、3月にヤフオク! やメルカリが衛生マスクの出品を禁止したほか、法律でマスクの高額転売が禁じられたことは記憶に新しいでしょう。

しかし、それでもマスク不足は改善していません。最寄りのドラッグストアをいくつか回ってみても「未入荷」という貼り紙ばかりで、棚にすら並ばない日々が続いているようです。筆者は毎年この時期、花粉症対策でマスクが手放せないのですが、今年はそれに加えてCOVID-19をはじめとするさまざまな病気にうつらない・うつさないためにも、より一層マスクの必要性を感じています。

もちろん、困っているのは我々一般市民だけではありません。全国の医師ら10万7,000人で構成される全国保険医団体連合会は「全国保険医新聞」(2020年3月25日号)で、医療現場の深刻なマスク・消毒剤などの衛生材料の不足を訴えています。政府や自治体が備蓄用マスクの配布を進めていますが、対応が追いついていないのが現状です。

この状況を打開すべく、新たにマスク生産に乗り出す企業が増えています。なかでも、異業種からの参入ということで注目を集めたのがシャープでした。同社は3月24日に三重(多気)工場で生産を始め、3月31日早朝には政府調達向けにマスク出荷を開始。今後は自社ECサイト「SHARP COCORO LIFE」での一般販売も予定しています。

シャープ公式Twitterアカウント(@SHARP_JP)は3月24日、マスク生産のツイートをしたあと、「電気を使わない自社製品をツイートしたの、これがはじめてだ」とつぶやいています。確かに、家電メーカーとしては異例のことだったに違いありません。


ようやっと本日、三重県のシャープ多気工場にて不織布マスクの生産を開始しました。1日に15万枚の生産ペースではじめ、いずれ50万枚/日を目指します。 https://t.co/WOmojCab0U pic.twitter.com/dKU4kKZGLf― SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) March 24, 2020


電気を使わない自社製品をツイートしたの、これがはじめてだ。― SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) March 24, 2020


マスクの実物を公開。シャープが作った理由とは?

マイナビニュースでは今回、シャープ広報の協力を得て、生産を開始したばかりのマスクのサンプルを入手しました。大人用サイズ、3層プリーツタイプの白い不織布マスクです。

公式に発表されている大きさは約95×175mm(縦×横)ですが、手元で本体を測ったところ、約90×175mm(同)となりました。今のところ用意されているのは大人用のみですが、将来的には他のサイズの商品化も検討するそうです。


本体はポリプロピレンの不織布で、プリーツを広げると目頭あたりまで伸ばせます。鼻にあたる部分にはポリエチレンで作られたノーズフィッターが入っており、装着時に指で押さえてぴったりフィットさせられます。耳ひも部はポリウレタンとポリエステルでできていて、細くて丸く、伸縮性があります。

家電のシャープが作った初めてのマスク。見た目や肌触りはごく普通の家庭用マスクですが、そもそもなぜシャープは生産に乗り出したのか。そこにはどのようないきさつがあったのでしょうか?

同社広報にメールでたずねてみると、今回の取り組みは「企業としての社会貢献」と捉えており、「日本政府の新型コロナウイルス対策に懸ける強い想いと、弊社がクリーンルームを保有している点がマッチして実現した」という返事がありました。これが、政府の要請に応じて2月28日にマスクの生産を決定し、経済産業省の導入支援も受け、わずか1カ月で生産開始にこぎつけるというスピーディーな動きにつながったようです。

マスク生産はシャープとして初めての取り組みですが、生産から販売方法にいたるまでひとつひとつ調査・検討を行い、準備を進めてきました。同社の三重(多気)工場では、主に車載機器や産業用機器、そしてモバイルデバイスなどに使われるディスプレイパネルの開発・製造を行っていますが、ここのクリーンルームにマスク生産機器を新たに導入。詳細は非公開ながら他社メーカー製のものを使っており、当初の生産量は1日15万枚で、今後は50万枚/日への増産を目指しています。

生産にあたっては、シャープを傘下に持つ台湾企業・鴻海(ホンハイ)精密工業のサポートもありました。鴻海は既に中国の工場でマスクの生産実績があることから、装置の紹介や生産指導などを受けたといいます。

液晶パネルなどの精密機器を製造する工場は、目に見えないチリやホコリを除去したクリーンな環境であることが必須。シャープのマスク生産ラインはさらに衛生面・品質面にも配慮し、マスクやガーゼ、紙おむつといった衛生製品に関する安全・衛生自主基準を定めている日本衛生材料工業連合会からのアドバイスを受けつつ、各種検査を行っているそうです。

シャープの取り組みについては、国内におけるマスクの安定供給の後押しにつながることを期待する声が数多く見受けられますが、一方でCOVID-19の影響は長引くとの見方が強まっています。同社のマスク生産は感染拡大が終息するまでの一時的な対応なのか、それとも今後も事業として継続されるものなのでしょうか。

この点について同社広報にたずねたところ、シャープの戴正呉会長兼社長が4月1日に配信した従業員向けのメッセージの中で「長期にわたって継続できる事業にもなるものと考えている」という言及があったことを明らかにしました。欧米やインド、中国でのマスク生産を早期に進めることを検討しているほか、「マスクに留まらず、健康関連分野へと事業の幅を広げていきたい」とも述べているそうです。

各地域でのマスクの生産規模や生産開始時期、国内で生産しているものと同じものかどうかについては明らかにしていませんが、欧州の場合、ポーランドにある液晶テレビ工場のクリーンルームで生産するものと見られます。シャープのマスクが、猛威を振るうCOVID-19から人々を守る日も近いのかもしれません。

マスクの一般販売は現状「シャープのECサイトだけ」

シャープ製マスクの一般販売についてもまとめておきましょう。先ほども少し触れたとおり、今の段階ではまずマスクが必要とされるところへ提供できるよう、政府への納入が優先されていますが、その後はシャープが運営するオンラインストア「SHARP COCORO LIFE」で取り扱われる予定です。一箱50枚入り(個別包装なし)で、販売開始の時期や価格は検討中。一人あたりの購入数上限についてもまだ決まっていません。

シャープのマスクを購入できるのは上記のオンラインストアのみで、会員登録と送料が別途必要となります。支払い方法はクレジットカードのみで、その他の支払い方法については今後検討するとのこと。


シャープへの電話注文や、事前予約は受け付けていません。また、現時点でスーパーや薬局、他の通販サイト、電器店、シャープ営業所への販売予定はなく、供給量が限られているため、医療・介護関係者や小売事業者への販売も決まっていないそうです。

販路がWebサイトに限られてしまうと、販売開始後は大量のアクセスが集中することも考えられますが、シャープでは「お客さまにご迷惑をおかけしないよう準備を進める」としています。いち消費者としては、スムーズに滞りなく買えることを願うばかりです。

シャープ広報は最後に、次のようなメッセージを寄せました。

「マスク生産について、各方面から数多くの激励や感謝のお言葉などをいただいており、そのひとつひとつが弊社(担当者)の励みとなっています。担当者は『企業としての社会貢献』との認識のもと、国内におけるマスクの安定的な供給に少しでも貢献できるよう、高いモチベーションを持って取り組んでいます」

庄司亮一

最終更新:4/4(土) 14:47
マイナビニュース

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