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「レナウン」株主総会で珍事…社長再任案が否決された事情

4/2(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】

「親会社の動議で代表者が交代する例を見ないケース」。社長をクビになった本人がこう振り返るほどだから、まさしく前代未聞の事態なのだろう。

 3月26日開かれたアパレル大手、レナウンの定時株主総会で、神保佳幸社長と北畑稔会長の取締役再任案が否決されるという珍事が起こった。同社に約53%出資する親会社の繊維大手、中国・山東如意科技集団が議案に反対したためだ。新社長には毛利憲司取締役上席執行役員が昇格し、山東如意の邱亜夫(チウ・ヤーフ)董事長が新会長に就任。神保氏は相談役、北畑氏は顧問に退いた。

■親会社の中国企業が「NO」

 山東如意がレナウン首脳陣の続投に「ノー」を突き付けたのは、低迷を続ける業績への不満があるとされる。19年12月期(10カ月の変則決算)の最終損失は67億円超と2期連続の赤字。財務諸表に「継続企業の前提に疑義注記」の記載が付けられた。直近5年間を見ても赤字と若干の黒字を行ったり来たり。「鳴かず飛ばず」(関係者)といったありさまだ。

 もっとも19年12月期の最終赤字に限れば、親会社に最大の原因がある。その香港子会社・恒成国際発展有限公司との取引を巡って売掛金回収が滞り、53億円強の貸倒引当金計上を強いられたからだ。それだけに「(いまだ)半信半疑」と神保相談役。レナウン内部からも「強権的かつ一方的」との不満が上がる。

 レナウンは10年に山東如意と資本業務提携、その後、子会社化された。生地から縫製を手掛ける山東如意の技術力とレナウンの商品企画力を融合し、業容拡大につなげる計画だった。ただ、シナジー効果は見いだせず、中国で立ち上げた衣料合弁も早々に撤退。「拡大」どころか「縮小不均衡」が続く。

 新社長に就任した毛利氏はこうしたジリ貧状態からの脱却を託された形だが、環境は厳しい。主販路の百貨店は集客力低下に歯止めがかからず、衣料のカジュアル化は加速する。そこに襲い掛かったのが、足元の新型コロナ禍だ。

「中国国内での販売不振で親会社自体の財務内容も悪化している」(事情通)といった観測もあり、市場関係者からは「前途多難」の声が飛ぶ。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

最終更新:4/2(木) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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