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ソフトバンクGに“異変” 自社株買い、資産売却、株価乱高下… 

4/2(木) 8:00配信

産経新聞

 ソフトバンクグループ(SBG)に“異変”が起きている。3月に入り多額の自社株買いや資産売却を立て続けに発表。それを受けて同社の株価も乱高下している。背景にあるのは出資先の不振や、新型コロナウイルスに伴う世界的な株価下落だ。多額の借り入れと投資を続けながら、成長を遂げてきた巨大企業が、正念場を迎えている。

【グラフ】2~3月間の日米中平均株価

 引き金となったのが昨年末以降の株価低迷だ。SBGは昨年11月に発表した令和元年9月中間連結決算で15年ぶりとなる営業赤字に転落。出資するシェアオフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーの株価下落によるもので、孫正義会長兼社長も投資判断の誤りを認め「大いに反省している」と述べていた。そこに新型コロナの影響が追い打ちをかけた。昨夏に6000円近くあった株価は、3月には半値以下に下がった。

 そこでSBGが3月13日に行ったのが5000億円もの自社株買いだった。一般的に自社株買いをして消却すれば、1株当たりの利益が上がるため、株価も上がるとされ、株価の下支えに動いたとみられる。

 しかし、株価はさらに下落する。自社株買いで同社の借金がさらに膨らむことへの懸念が広がったからだ。いまや投資会社となったSBGは、多額の借金をして今後成長が見込める企業に投資し、価値を高めることで資産を増やすビジネスモデルで成長してきた。それだけに同社が保有する株式資産は2月12日時点で約31兆円と巨大だが、有利子負債も約6兆円と規格外の額に膨らんでいる。

 借り入れの多さを危惧する声は以前からあり、自社株買いの発表を受けて格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も17日、「財務健全性を保てなくなる可能性がある」と格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に見直した。

 そこでSBGが次の一手として23日に発表したのが4・5兆円の資産売却だ。売却で得た資金は、追加の自社株買いで使う2兆円以外は借金の返済などに充てるというメッセージだった。この動きに株価はストップ高まで急上昇、S&Pも「信用力への下方圧力を緩和」と評価した。

 しかし、別の格付け会社「ムーディーズ」は2日後、SBGの格付けを2段階引き下げた上で「さらなる格下げ方向」と発表し、関係者を驚かせた。新型コロナで市場が混乱している状況下で資産を売却するのは難しく、売れたとしても割安となる懸念から、「資産価値と信用力は悪化する可能性がある」と考えたからだ。

 一連の問題に関しては、有識者の見解も割れている。帝京大の宿輪純一教授は「市場が混乱している状況下では、弱い株から売られる。そういった株を多く持つSBGも一度売られ始めると加速するだろう」と、ムーディーズの格下げ評価に一定の理解を示す。一方、SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは「借金を返そうと思えばすぐに現金化できる資産を保有しており、子会社の配当という安定収入もある。負の側面がフォーカスされすぎている」と否定的だ。

 グロービス経営大学院の斎藤忠久教授は「借金に対して十分な資産があると見るかで、評価が分かれる」と解説する。31兆円の資産と、6兆円の借金を単純比較すれば資産の方が多く見える。ただ、資産の中には非上場の株式などすぐに売れないものも多く、評価は難しいのだという。

 特に見極めが難しいのが新型コロナの影響だ。各国の感染対策で世界をめぐっていたヒト・モノ・カネが滞る中、財務基盤の弱いベンチャーはより大きな影響を受ける。実際、27日にはSBGの有力投資先の英衛星通信会社「ワンウェブ」が経営破綻しており、SBGが投資する他の企業への影響も懸念されている。

 4・5兆円の資産売却を発表した際、「当社の事業に対する揺るぎない自信に基づくものだ」と強気のコメントを出した孫氏。これまでのように、周囲の心配を跳ねのけて成長していく姿を見せられるのか、その手腕に注目が集まっている。(経済本部 蕎麦谷里志)

最終更新:4/2(木) 8:00
産経新聞

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