群馬県の高崎金古南小での1学期が始まった。体をほとんど動かすことができない重症心身障害児の石川知果さん(7)は、母の京子さん(48)の車で登校し、教諭が迎える。専用車いすで登校すると、入学式で知り合った隣の特別支援学級の1年生や4年生の女児らが駆け寄り、耳元で「おはよう」と声を掛けてくれる。
学校は知果さんの障害に応じた特別の教育課程を用意した。国語や算数の代わりに、「自立活動」として車いすで校庭に出て草花を触ったり、川の流れる音を聞いたりしながら身の回りの環境を体感し、学んでいく。
音楽や図工、体育などは在籍する協力学級の1年4組で、同級生と一緒に授業を受ける。合唱を聴いたり、教諭と一緒に粘土を触ったり、シャトルランの時はマットに寝転がって走るように足を動かしたり。友達と同じ空間で、できる範囲で参加する。
入学当初は声を掛けられても感情表現はほとんどなく、慣れない学校生活に疲れて眠ってしまうことが多かった。だが、刺激のある毎日で次第に変化が見え始めた。
「うれしそう!」。音楽の授業で同級生の歌声が教室に響いた時だ。知果さんが、にんまりとした表情を浮かべた。一緒に歌えないが教諭が手を取り、リズムに合わせて手をたたく。全身で合唱を感じているようだ。時折こうした表情を浮かべ、周囲の友達を一層喜ばせるようになった。
水着も用意したが、安全面からこの夏に授業でプールに入ることは見送られた。しかし、体力がつき、眠ってしまう時間は格段に減った。1学期は数日の欠席を除き、ほとんど毎日登校できた。
「チーカちゃん! あそぼ」。休み時間には、協力学級や他学年の女児らが知果さんを訪ねてくる。ベッドを囲んで話し掛けたり、校庭で一緒に散歩したりする。
5年生の女児2人は、初めは障害のある知果さんにどう接したらいいか分からず戸惑った。楽器を演奏したり、散歩したりすると笑ってくれることが増えた。「仲良くなれたし、思い出も増えてきた」。今では一緒の時間が楽しみになった。
京子さんが放課後に迎えに行くと、こうした友達が学校での知果さんの様子を教えてくれる。「知果は話せないけど、受け入れてもらって自分の力で友達をつくっているんだ」。入学前、健常児と比べれば、はるかに長い時間を知果さんに寄り添ってきた。そんな京子さんは自身の変化に気付き始めた。「知果の人生と、私の人生は別だと実感してきた。周りの世界を知ることが知果にとっての勉強なんだ」(学年や所属学級は2019年度)
最終更新:4/2(木) 6:03
上毛新聞



















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