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「今の日本のメーカーは機能性のことを言い過ぎなんですよ」ジェットダイスケがライカを選んだ理由

4/3(金) 19:00配信

ギズモード・ジャパン

何かと実利的な時代、だからこそ。

2月末よりギズモード・ジャパンでスタートしたカメラ特集「さよなら、プロっぽいカメラ:僕らはカメラをこう選ぶ」。この特集では、各メーカーがしのぎを削るデジタルカメラのスペック競争から離れて、自分の感性に向き合ってカメラを選ぶことの楽しさを提案しています。

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今回インタビューした写真家/カメラレビュアーのジェットダイスケさんは、そんな感性でカメラを選んでいるユーザーの一人。2018年にはレンジファインダーカメラの「ライカM10-P」を購入しました。ジェットさんと言えば、キヤノンの一眼レフやソニーの「α99」「α7」シリーズなどのレビュー動画を多数あげており、いわば“プロっぽいカメラ”でおなじみでしたが、なぜクラシカルなM型ライカを選んだのでしょうか?

その理由を聞いていくうちに、今の日本のメーカーが抱えている「スペックのこと言い過ぎ」問題や、プリミティブなカメラの楽しみ方を考えるヒントがありました。

国産メーカーへのカウンターとして買ったライカ

── M型ライカといえば、多くのカメラユーザーがいつか欲しいと思っている「憧れの存在」ではありますが、MF専用という理由で「別腹」とされています。今までプロっぽいカメラを使ってきたジェットさんが、なぜM型ライカを選んだのでしょうか?

やっぱりライカって、避けて通れないカメラなんだろうと。カメラについて喋っていると、どうしてもクラシカルなスタイルのカメラに行き着くんじゃないかなと思うんですよ。それは人によっては古いニコンなのかもしれないですが、そういう手合いの総本山がライカなのかなと。

── なぜそこで古いニコンではなくライカだったのですか?

今のカメラは、デジタル機器のなかでも最新の技術を背負っているじゃないですか。だからカメラは最新のものがいいと思ってきたんですが、M型ライカのことを調べるとどうも日本のメーカーが作っているものと違う方向なわけですよ。

たとえば電動カッターとか電動のこぎりを作っているのが日本メーカーで、すごく切れる包丁を真面目に作っているのがライカという印象。だからライカに電子機器的な高機能を求めても仕方ないので、いっぺん飛び込んでみようと思い買いました。

── 最終的には感性に引っかかるものがあったということでしょうか?

そうですね。日本のメーカーって、どうしてもプロモーションにプロの写真家さんを起用するじゃないですか。ところが生業として写真を撮ってらっしゃる方って、最終的には効率が重要になってくるでしょう。それは至って普通のことなんですが、そうなると褒めるところが「機能」になってくるんですよ。

まさに瞳AFはその一つです。瞳AFがあることで被写界深度に気を配れるだとか、表情に気を配れるだとか、そういった余地はどんどん増えていきます。しかし、僕は瞳AFを「サジタリウスの矢」によく例えるんですが、絶対に当たるものに頼ってしまうことは決して写真の「面白み」には貢献しないと思うんです。というのも、僕がむかし撮っていた写真は意図的にピントを外すこともあったんですよ。本来ピントってミリ単位で外せるんですが、瞳AFに慣れきっちゃうとそういった撮影法すら考えなくなってくるので、それは写真を撮る面白みが欠ける気がしています。

── 面白さと効率性は別ということですね。

ただ、ここで言いたいことは、効率性を重視するあまりに機能一辺倒になってしまうことにどうかと思うわけですね。

たとえば最近だと、F1.2とかF1.4の大口径レンズの開放でもちゃんと目に合焦するようになってきたわけですよ。撮る方からすればそれは楽しいことだと思うんですが、何度も繰り返し使ったり、みんながそれを真似する流れに対して僕は疑問がありますね。もう少し何をどう撮りたいのか考えて撮ってみてもいいんじゃないかなという気がします。

面白かったのは、このまえ野鳥を撮ってらっしゃる方に「ダイスケさん、ピントのチェックってどうやって見ていますか?」って聞かれて。「いや、合ってればそれでいいんじゃないか?」って答えたんですが、その方はパソコンで等倍にして見ているそうです。そして、等倍で確認して少しでも合焦していなかったら「僕は捨てますね」っておっしゃっていたんですよ(笑)。それは、昔だったらないんです。はっきり言って出力サイズさえ決まってれば、多少のぶれやピンぼけが許容できる範囲が決まるので。だからそもそも想定した出し先がないんだと思いました。

つまり、今の日本のメーカーはAFがばっちりくるとか、機能性のことを言い過ぎなんですよ。最新性能のマーケティングとして見せつけるためには効果的ですが、それがユーザーをあまり良くない方向に導いている部分もある気はしますね。

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最終更新:4/3(金) 20:21
ギズモード・ジャパン

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