日本医師会の横倉義武会長がメディカルノートの単独インタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大に対する危機感や、今後国、医師、国民が求められることなどについて語った。一部にある「検査の拡大」については、検査のデメリットも示したうえで、「拡大は医療崩壊を招きかねない」と注意を促した。【News & Journal編集部】
――大都市を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大しています。いま、私たちが気を付けなければいけないことは何でしょう。
横倉会長 まず、皆さん気を抜いてはいけない、ということを肝に銘じてください。3月20日からの3連休は、桜も咲いて、一部ではイベントなども行われていました。
東京、大阪、愛知、兵庫、神奈川の各都府県で、感染経路が明らかでない事例が出ています。特に東京で急速に増えているので、感染者の爆発的急増を非常に心配しています。
感染を防ぐために一番大切なのは、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で「発生リスクを下げるための3つの原則」として挙げられた
(1)換気を励行する
(2)人の密度を下げる
(3)近距離での会話や高唱を避ける
という「3つの密」、すなわち「密閉」「密集」「密接」を避けるということを国民一人ひとりがしっかり守っていくことが重要です。
新型コロナウイルスは通常、飛沫(ひまつ)感染または接触感染すると言われていますが、「エアロゾル」という小さい粒子が空中を漂い、感染するという説もあります。ですから、特に密閉空間は危険性が高くなります。30分に1回程度窓を開けて換気をする。そういうことに注意すれば、ずいぶんリスクは違ってくるのではないかと思います。
――「医療崩壊」をきたしたとされる一部の国と異なり、日本の医療体制は今のところ持ちこたえていると思います。その要因はどこにあるとお考えになりますか。
横倉会長 3月下旬時点では、日本の状況は爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度持ちこたえているのではないかと、専門家会議が見解を出しています。
一部では「きちんと検査をしていないので、正確な状況が把握されていないからだ」というご意見もあることは承知しています。しかし、3月30日時点での国内の死者(クルーズ船乗客は含まず)は54人と2桁にとどまっています。肺炎の重症患者については、医師は当然新型コロナウイルスに感染している可能性があることを考えて診察をしているため、この死者数は正確なものと考えられることから「持ちこたえている」という表現は的確なものと思います。
その理由の1つとして、地域の開業医の技量が高いことが挙げられます。もう一つ、CT装置などが多くの医療機関にあることも忘れてはいけないポイントです。平時を想定して「過剰な設備」と指摘されたこともありますが、私たち日本医師会が主張してきたように、ある程度余裕がなければこうした緊急時に対応できません。
新型コロナの拡大が起こる前に、地域医療構想に基づいて病床を削減するという話がありました。人口減少に合わせて削減するならばまだしも、それを超えるペースで病床を削減していくとどうなるか。
イタリアは、財政赤字が大きく、社会保障を削減せよという圧力がこの10年かかり、大幅にカットしてきました。そのツケが、今回一気に回ってきたと考えられます。
最終更新:4/3(金) 11:40
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