夏休みが終わり、群馬県の高崎金古南小に車いすで通う重症心身障害児の石川知果さん(7)は少し日焼けして2学期を迎えた。9月末には一大行事の運動会。ただ、体をほとんど動かせない知果さんが通う特別支援学級「たんぽぽ組」の担任、長谷川和葵(かずき)教諭(29)は迷っていた。
「車いすでの参加は動線を確保しづらい。進行に迷惑を掛けるわけにもいかない…」。参加させたい思いは強かったが、母の京子さん(48)には参加は難しいとの考えを正直に伝えた。
「他の児童と同じようにできないのは当たり前。できることを一つずつ見つけていけばいいじゃない」。知果さんの不参加方針を知った加藤陽子教頭(55)は特別支援教育に長年携わった経験がある。長谷川教諭に知果さんが運動会に参加できる方法を見つけるよう助言し、背中を押した。
長谷川教諭は「知果さんを第一に考えるのが担任の役割」と思い直し、全体練習の様子から、車いすでも参加できる種目や方法を探った。他の教諭にも協力を求め、知果さんは運動会に参加できることが決まった。
知果さんは「はるな団」の一員として、玉入れと50メートル走、表現発表に出場。玉入れは同級生がかごを目がけて玉を投げる中、長谷川教諭が知果さんの両手を上下に動かし、2人で応援した。
大一番の50メートル走。一斉に走りだす児童の中に、長谷川教諭が押す車いすにもたれた知果さんの姿もあった。引き離され、結果は最終着の6位。走り切るまで同級生たちが大声援を送り、保護者らも拍手で応援した。
「6位」の札を受け取ると、京子さんの目から涙がこぼれた。車いすとはいえ、運動会で知果さんが友達と走れる日が来るとは考えたこともなかった。「これまでの道のりは長かった」。新たな宝物となった札を記念撮影し、多くの善意に感謝して、泣きながら笑顔をつくった。
曲に合わせて踊る表現発表では、教諭が知果さんの車いすを押し、ポンポンを振ったり、リズムに乗って他の児童の隊形に加わったりした。演技が盛り上がる中、協力学級1年4組の女児(7)が車いすを押すのを手伝い始めた。同級生の力を借りて知果さんは輪に溶け込んだ。その表情はひときわ朗らかに見えた。
運動会の後、長谷川教諭は知果さんを代弁し、力を貸してくれた友達に手紙を送った。
「となりでおどってくれてありがとう!うれしかったよ!」。4組の男児(7)も手紙を受け取った一人。仲良しの知果さんからの手紙を今も大切にしている。(所属学級や教諭の役職は2019年度)
最終更新:4/3(金) 6:01
上毛新聞


















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