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ディープフェイクが政治を動かし、曖昧なコロナ情報が報じられる時代、報道機関に求められる姿勢とは

4/3(金) 9:30配信

AbemaTIMES

 「親愛なるアメリカ国民の皆さまへ。真剣に考えた結果、大統領を辞任することに決めた。申し訳ありません。こんなに大変だとは思わなかった」と衝撃発言をするトランプ大統領の映像。しかし、これはディープラーニング(深層学習)によって表情のパターンを学習させたAIが合成した「ディープフェイク」だ。オランダのセキュリティ会社の調査によれば、昨年9月時点でネット上にアップされたディープフェイク動画は1万4678件と、一昨年から倍増。この技術を用いたトラブルは後を絶たない。

【映像】トランプ大統領、ボリス・ジョンソン首相…ディープフェイクの事例

カナダ在住で社会風刺的なディープフェイク動画を制作するポール・シェイルズ氏は「ディープフェイクは色々なものに使えるし、エンターテインメントになるだろう。かつては莫大なお金が必要だったが、とても少ない予算で速く作れる」と話す。

 桜美林大学の平和博教授は「やはりAIと、PCの画像処理能力が飛躍的に進化していることが非常に大きいと思う。昔はハリウッドの専門家が非常に高価な機材を使ってやっていたようなことが、今は一定の知識さえあれば普通に出回っているような機材で作れてしまう状況になってきていると思う」と話す。

 特に被害が多いとされるのがアダルト動画への転用で、あるサイトではハリウッド女優や日本の芸能人の顔を使ったアダルト動画が売買されている。インドでは政権に批判的な女性ジャーナリストのアダルト的な内容のディープフェイクが拡散された。「ディープフェイクの96%は昔の“アイコラ”の動画版だといわれている。当初はスカーレット・ヨハンソンさんやエマ・ワトソンさんといったハリウッド女優が標的になっていたが、皆さんがSNSにアップしているような写真や動画を素材として作ってしまうことも可能になっている。そこからリベンジポルノの用途で作られるケースもあり、海外では非常に深刻な人権侵害の問題を生み出している」(平教授)。

 また、選挙や政治の領域での悪用も深刻だ。2018年にはガボン共和国で数カ月姿を見せなかった大統領が新年の挨拶動画を公開したところ、ディープフェイクだと疑われクーデター未遂が発生。昨年にはマレーシアで首相側近の経済大臣が登場するディープフェイクの可能性がある動画が流出し、物議を醸す事態になった。

 また、イギリスのシンクタンクが「民主主義を脅かすディープフェイクの影響力を知ってもらうため」として、総選挙の期間中にボリス・ジョンソン首相が「私は現在の分断を克服し、私のよきライバルであるコービン党首をイギリスの首相に支持したい」とライバルの野党党首・労働党のジェレミー・コービン党首を褒めちぎるディープフェイクがアップ。「本当に発言しているように見える」として20万回以上も再生された。

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最終更新:4/3(金) 9:30
AbemaTIMES

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