【北京・川原田健雄】新型コロナウイルスが猛威を振るう世界各国に対し、中国が相手国ゆかりの詩や言葉を添えて支援物資を送っている。中国国内では感染が深刻な時期に、日本から届いた支援物資に激励の漢詩が書かれていたことが話題を呼んだ。こうした励まし方が中国側にも広がった形だ。
【写真】「侍マスク」口コミで広がり…静かな反響
「春雨や身をすり寄せて一つ傘」(一つの傘で身を寄せ合って春雨を乗り切ろう)。3月下旬、遼寧省大連市から友好都市の北九州市に届いた20万枚のマスクには、夏目漱石の俳句が添えられていた。親友の正岡子規が詠んだ「人に貸して我に傘なし春の雨」にちなんだ句との見方もあり、中国へ物資を送った後にマスク不足が深刻化した日本の状況とも重なる。
大連市の担当者によると、送付したマスクは北九州市が2月にマスク260枚などを大連側に送ったことへのお礼。北九州市から届いた物資に「大連加油(頑張れ)」と書かれていたことから「返礼には日本ゆかりの言葉を添えて送ろうと考えていた」と明かす。
こうしたメッセージは日本向けだけではない。中国の建設機械企業は3月中旬、ドイツへ送った支援物資に「山と山は出会わないが、人と人は出会う」というドイツのことわざを添えた。他にも韓国、イタリア、フランス、イランなどに届いた中国企業や政府機関からの物資には現地ゆかりの詩や格言が記されていた。
メッセージ添付のきっかけとなったのは、中国語検定「HSK」の事務局を務める日本青少年育成協会(東京)が1月末に湖北省の大学へ送った支援物資だ。約1300年前に天武天皇の孫の長屋王が唐の高僧、鑑真に送ったとされる「山川異域 風月同天」(場所は違っても、風月の営みは同じ空の下でつながっている)という漢詩の一節を添えたところ、中国の会員制交流サイトで「感動して涙が止まらない」といった投稿が相次いだ。
同協会の林隆樹常任理事は「国際交流を象徴する言葉だと思い記したが、こんなに反響があるとは思わなかった。詩の力を感じる。漢字文化圏を超えて詩文の交流が広がるのは素晴らしいことだ」と話した。
最終更新:4/3(金) 10:09
西日本新聞





















