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毒親ブームに警鐘、脳科学から見た親と子の問題点「誰でも“なり得る”ことを知って」

4/4(土) 9:30配信

オリコン

 近年、世に浸透した“毒親”というキーワード。エンタメ界では、『凪のお暇』(TBS系)や『過保護のカホコ』(日テレ系)など、過干渉により子どもの自立を奪う母親が描かれたドラマが増えたり、SNSでも“毒親育ち”という言葉が大きな反響を起こしたりしている。そんななか、『不倫』や『キレる!』などの著書がある脳科学者・中野信子氏が『毒親 毒親育ちのあなたと毒親になりたくないあなたへ』(ポプラ社)と題した新作を発表。中野氏が語る“毒親ブーム”への警鐘とは? 世間に衝撃を与えた心愛さん虐待死事件への考察も明かす。

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■毒親ブームに警鐘、「親VS子どもという対決の構図を助長するだけ」

 いまこのタイミングで、毒親をテーマに執筆した理由について中野氏は、「コミュニケーションの基本は親や養育者との関係で作られるので、“毒親”は一つの重要なトピックではあります。でも私自身は、このブームを少し引いた目線で見ている部分があって。それは、『親がこうだから自分はうまくいかないんだ』と親だけを責める形にしてしまうと、親VS子どもという対決の構図を助長するだけで、問題解決には必ずしもつながらない。その構図へのアンチテーゼという意味もあります」と説明する。

 確かにメディアは“毒親”という言葉を用い、センセーショナルに扱う。SNS等でも、その言葉は非常に大きな影響力を及ぼす。問題提起という意味では間違ってはいないが、親子関係が一面的に捉えられてしまう危険性もある。そこで中野氏は、脳科学者の立場からこの問題に向き合おうと、本書を執筆したというのだ。

 「自分の心に痛みがあるとき、人は、犯人探しをするようにその原因を探してしまう」と中野氏は語る。コミュニケーションスタイルの問題では、ともすると、身近な存在である親が「全部悪い」ということになりかねない。そこに親子関係の問題点があるという。

 「子どもの性格を決める要素として、親から受け継いだ遺伝的な部分と、生後の環境と両方の側面があります。つまり、二重に親の影響を受けて今の自分のコミュニケーションスタイルの基礎が出来ているという理解に普通はなるでしょう。確かにそうなのですが、不都合があったとき『親が正しく育ててくれていれば、こんなことにならなかったのに』と、すべての原因を親に求めてしまうパラダイムに自縄自縛状態になって苦しむ人がたくさん生まれてしまっています」。

 多感な時期に残酷な仕打ちを受けた、となれば、親を責めたくなる気持ちが生じるのも不思議ではない。またそれは一朝一夕に消えるものでもないだろう。しかし、親を責めることでこの問題が解決できるのかどうか、といえばむしろ解決から遠ざかってしまうのではないかと中野は危惧する。「人間は必ずしも論理的に考えることに慣れているわけではないんです。冷静に考えれば『そうだ』と納得が出来ても、気持ちはまた別物だという場合がほとんどでしょう。むしろ、論理では説明のつきにくい、伝統的な概念をうまく使って、バランスを取りながら心を癒していくことも必要なのかもしれません。正しさをむやみに追求するより、その方が人間の認知の形に合った方法ではないかと思います」。

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最終更新:4/19(日) 21:56
オリコン

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