◆5時55分。彼女の気がかりは……?
本物そっくりに描かれた、写真とみまがう写実絵画。対象をリアルに描いたそんな絵画が、今盛り上がりをみせている。本展「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」は、世界でもまれにみる写実絵画専門美術館、ホキ美術館(千葉市緑区)のコレクションから、日本の代表的な写実画家約30名とその作品を紹介する展覧会だ。
【写真】幅約2mもの《幻想ロブスター》は、迫り来る怪獣のような迫力
なかでも人気の高い作品が生島浩の《5:55》。美術館の開館時には、ポストカードが瞬く間に売り切れて関係者を驚かせた。フェルメールの絵画を思わせる静謐な室内に、光に照らされて座る美女。伝統的な女性の肖像画と思いきや、目が泳いでいるようなモデルの表情や、落ち着きのない指先の描写が印象的だ。後ろの時計を見ると5時55分を指している。どうやら6時の帰宅時間を気にしているようである。
作者の生島浩は、1988年より6年間ニューヨークやウィーンに滞在し、各地の美術館でベラスケスやフェルメールを模写してまわった。古い絵の持つ質感のなかに、現代の女性像を描くことを得意とする。
そんな生島とテーマを異にする画家が島村信之だ。かつては生島同様、透明感あふれる女性像で人気を博したが、近年は子供の頃から好きだった甲殻類の描写に新境地を拓いている。
幅約2mもの《幻想ロブスター》は、迫り来る怪獣のような迫力だ。写実絵画を1枚描くには、数ヵ月から1年、場合によっては10年かかることもあるという。その間に画家が見いだした感動や発見がカンヴァスに描き込まれることで、写真とは違った味わいが生まれるのかもしれない。
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超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵
~5月11日
Bunkamura ザ・ミュージアム
03・5777・8600(ハローダイヤル)
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◆実は朝鮮半島渡来じゃなかった?
1949(昭和24)年、法隆寺の金堂が火災に遭い、7世紀の貴重な壁画が焼損した。この悲劇をきっかけに翌年制定されたのが、文化財保護法だ。本展「特別展 法隆寺金堂壁画と百済観音」はこの法律の制定70周年を記念して、法隆寺金堂壁画の優れた模写や、後に再現された壁画を、その背景にある物語とともに紹介する。同時に、かつて金堂に安置されていたという国宝・百済(くだら)観音も公開。東京には23年ぶりのお出ましだ。
正式名称を《観音菩薩立像(りゅうぞう)》という百済観音は、しなやかな長身が特徴的な仏像である。江戸時代の記録に「百済国より渡来」とあることから、大正時代以降「百済観音」の呼び名で親しまれてきた。
だが素材に国産のクスノキが使われていることが判明し、近年、本像は朝鮮半島ではなく、日本でつくられた仏像であることが確定した。会場ではあらためて日本生まれの仏さまとして拝覧したい。
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特別展
法隆寺金堂壁画と百済観音
~5月10日
東京国立博物館 本館特別4室及び特別5室
03・5777・8600(ハローダイヤル)
新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、開催が延期になっています。今後の開催情報は、展覧会サイトでご確認ください
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◆大規模リニューアルを終えコレクションをお披露目
京都の岡崎公園内に位置する京都市美術館。長らく京都市民に愛されてきた同館が、大規模なリニューアルを終え、3月21日、「京都市京セラ美術館」として開館した。その開館記念展となる本展「京都の美術 250年の夢:最初の一歩」では、85年前に開催された記念すべき第1回「本館所蔵品陳列」の出品作品全47点を公開中。
華やかな振り袖姿の女性(実は画家の妻)がピアノを弾く、中村大三郎の《ピアノ》など、美術館の顔とも言うべき作品が紹介されている。京都を訪れる際は、ぜひこの新しいアートスポットにも立ち寄りたい。
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京都市京セラ美術館開館記念展
京都の美術 250年の夢:最初の一歩
~4月5日
京都市京セラ美術館
075・771・4334
新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、京都市京セラ美術館は開館延期しています。今後の開催情報は、美術館サイトでご確認ください
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木谷節子
最終更新:4/4(土) 7:00
婦人公論.jp

































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