ここから本文です

新型コロナウイルスと大気汚染の組み合わせは最悪のコンボ

4/5(日) 20:30配信

ギズモード・ジャパン

新型コロナウイルスは誰にでも平等に感染するというけれど…。

世界中に広がっている新型コロナウイルスの特筆すべきところは、重篤化して死に至る場合もあれば、軽い症状ですんでしまうケースもある点です。これまでのところ、高齢であったり既存の疾病があったりすると、重篤化のリスクが高くなることがわかっています。

でも残念なことに、多くの人々は毎日吸い込んでいる汚染された空気によってすでに肺を損傷していて、新型コロナウイルスに対してより脆弱になっている可能性が高いようです。

新型コロナとたたかう前に大気汚染によって弱ってる人たちがいる

発熱と空咳を伴うことが多い新型コロナウイルスは、呼吸器系を攻撃し、患者は肺が液体で満たされる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を起こして死に至ります。このウイルスは、60歳以上の人だけでなく、心血管疾患、がん、慢性呼吸器疾患のある人にとって最も致命的です。

上で挙げたすべての病気の主な原因は何だと思いますか? ──大気汚染です 。

アメリカで大気汚染に最もさらされる可能性が高いのは誰でしょうか? ──低所得層や有色人種のコミュニティです。

では、空気の質の低下によって早死にする可能性が最も高いのは? ──高齢者です。

今日では、黒人は白人の3倍も喘息で死亡する可能性が高く、黒人の子供の場合、その可能性が10倍にもなります。黒人は心臓病による死亡率が高かったりもします 。

新型コロナウイルスは社会的な平等や公正の問題とも直結

これが、新型コロナウイルスの世界的な大流行が環境正義の問題である理由です。元米環境保護庁(EPA)長官のGina McCarthy氏も、このツイートからはじまるスレッドの中でこう述べています。

この危機は単なる公衆衛生の問題ではありません。平等や環境正義に直接関係しています。それは、きれいな空気や水、健全な環境やコミュニティのために行なっている私たちの活動に直結しています。新型コロナウイルスは、私たちの健康や生活様式に影響を与えていますが、低所得層や有色人種のコミュニティは、さらなるリスクに直面する可能性があります。

これまでのところ、新型コロナウイルスの発生率が高い地域の人口統計に関する研究はありません。また、大気汚染がどのようにして症状を悪化させるかについての研究もありません。

コロンビア大学医療センターの小児科学助教授であるStephanie Lovinsky-Desir氏はEartherにこう話しています。

ウイルスがこれほどまでに猛威を振るった理由のひとつは、大気汚染のような悪い環境への曝露に関係している可能性があります。

大気汚染由来の有毒な粒子を吸い込むと肺が炎症を起こして、呼吸器系の免疫システムに影響を及ぼすことはわかっています。劣悪な大気環境と新型コロナウイルスは、有毒な化石燃料に依存している世界経済によってすでに苦しめられているコミュニティにとって、致命的な組み合わせになるかもしれません。

実際、アメリカが追い抜くまで最も症例数が多かった中国とイタリアでは、新型コロナウイルスによって通常の人間活動が停止したことで、大気汚染が劇的に改善しています。しかし、世界的な健康危機でも起こらない限り、自動車はそこら中で公害物質を排出し、製油所や発電所は、環境弱者が多数を占めるコミュニティに微粒子や発癌性物質を排出します。

ラトガーズ大学のTranslational Medicine and Scienceの肺内科医で副所長のRey Panettieri氏はEartherに語っています。

汚染にさらされるとリスクは高くなります。もし、汚染された地域に有色人種が偏って多いのであれば、病気はより深刻になるでしょう。脆弱な人々は、あらゆる病気で偏った影響を受けているため、ウイルスの急速な広がりを考えると、彼らに影響が偏ることが懸念されます。

世界保健機関(WHO)によると、大気汚染によって世界では年間700万人が死亡しています。米国では、10年ぶりに大気汚染が悪化しています(原因はドナルド・トランプでしょう)。1999年から2013年までの大気の改善によって高齢者の早死にが減って、年間240億ドル(約2兆4000億円)の経済的な恩恵をもたらしましたが、依然として高齢者は最も高いリスクにさらされています。大気汚染は非常に致命的であるため、医療専門家はこれを「パンデミック」と呼び、化石燃料は世界規模で主な死因であり絶望であると指摘しています。

そして今、新型コロナウイルスはこのような地域社会の死亡リスクをさらに高める可能性が高いそうです。

ジョージ・メイソン大学の気候変動・エネルギー・環境衛生の公平性の准教授であり、全国医師会医療立法評議会の議長でもあるMark Mitchell氏は、Eartherにこう言います。

低所得層の地域社会では感染率や死亡率がはるかに高くなり、低所得の有色人種が多い地域社会ではもっと高くなるでしょう。

このような社会状況には、貧困率の上昇、医療の不平等、有給休暇へのアクセスの格差などが関係しているそうです。また、移民の家族や有色人種には、祖父母や子供、孫が一緒に住んだり、より公共交通機関を利用する傾向があります。

そのため、産業活動による大気汚染の発生率が高くなっている都市では、ウイルスについての情報を提供するために、地域の人々と連絡を取っています。アジア太平洋環境ネットワーク(APEN)は、カリフォルニア州リッチモンドにあるシェブロンの製油所が有毒ガスの放出で近年非難を浴びているため、ウイルスから身を守るための重要な情報を提供しようとしています。

この地域には高齢者が多く、ぜんそくやがんに苦しむ人も多いそうです。同団体によると、これまでのところ新型コロナウイルスの感染者は出ていないとのこと。APENはアジア系アメリカ人と協力しており、人種的プロファイリングと憎悪犯罪の増加に特に関心を持っていると責任者のMegan Zapanta氏はEartherに話しています。これらのコミュニティが新型コロナウイルスの流行時に必要なのは平時と同じで、住居、医療へのアクセス、安定した雇用なのです。

Zapanta氏はこうも話しています。

私たちは回復力についてあらゆる観点から考えたいと思っています。これは、甚大な災害やパンデミックが起きたときに限った話ではありません。景気後退や住宅危機の際の回復力の話でもあり、これらはすべてつながっています。

1/2ページ

最終更新:4/5(日) 20:30
ギズモード・ジャパン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事