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《チカさんの登校日記》地域の小学校で学ぶ重症心身障害児 (7)成長 目の動きで意思を伝達

4/5(日) 6:01配信

上毛新聞

 群馬県の高崎金古南小に通う重症心身障害児の石川知果さん(7)は2学期、ほとんど休まずに通学できた。ただ、冬の寒さは苦手だ。体調を崩しやすく、インフルエンザなどに感染すると重症化の恐れがあるため、1月中旬から登校を控えた。代わりに、特別支援学級「たんぽぽ組」担任の長谷川和葵(かずき)教諭(29)は定期的に自宅に出向いて授業する「訪問指導」を取り入れた。

■動画で参加

 2月下旬の授業参観も出席を見送ることになった。それでも1年間の学びを形にするため、長谷川教諭はどうにか参加できないかと考えていた。授業は音楽。発表曲「こいぬのマーチ」などを演奏する知果さんを動画撮影しようと思い付いた。

 自宅のマットで横になった知果さんは長谷川教諭に手を添えられて、タンバリンをたたいたり、鈴を振って鳴らしたりした。演奏を終えると、教諭の方を向いて「上手だったでしょ」と言わんばかりに、満足そうな表情を浮かべた。

 授業参観では、隣の特別支援学級の女児(7)らがスクリーンに映し出された知果さんや教諭の演奏に合わせ、元気よく合唱した。

■感情を表現

 知果さんは感情をほとんど表現できなかった入学前と比べ、大きな成長を見せている。話し掛けてくれる友達の声、手を触ってもらう時のぬくもり、散歩中の川の流れや鳥のさえずりといった周囲の音。自ら動くことができない知果さんにとっては全てが受け身だが、毎日の学校生活は刺激にあふれている。

 苦手なことも見えてきた。例えば工作で使う液体のり。触り心地が良くないのか渋い顔をする。それから体温が下がってくると寝入ってしまう。

 長谷川教諭や介助手の中島みゆきさんは最近、小さな変化に気付いた。呼び掛けに対し、黒目を上に向けるようにしたら「はい」。下に向けたり反応が鈍かったりするときは「いいえ」。そう伝えようとしているのだろうと捉えて、できる限り“意思”を尊重する。

 首が据わらず自由に動かせないが、話し掛けてきた人の方を向きたがるしぐさも見せる。母の京子さん(48)は「相手とちゃんと向き合おうとしている」と受け止める。

■状況を認識

 2月、特別支援学級の児童らの作品を集めた展示会でのこと。約1カ月ぶりに友達と会えた知果さんは穏やかな表情を見せていたが、別れ際に泣き始めた。長谷川教諭はなだめながら、周囲の状況を認識しているのだと確信した。「久々に会った友達の声もきちんと覚えているようだ」。成長ぶりに目を細めた。(所属学級や学年、教諭の役職は2019年度)

最終更新:4/5(日) 6:01
上毛新聞

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