ここから本文です

末期を迎えた慢性腎臓病の猫「ぽんた」 穏やかに旅立てるようにしてやりたい

4/5(日) 16:50配信

sippo

 ぽんたが慢性腎臓病と診断され、「余命2年」と宣告されたとき、私はすぐに本屋へ行き、老猫との暮らし方についての本を買った。猫の看取りにふれている本だった。

【写真特集】 慢性腎臓病と診断された猫「ぽんた」 症状はゆっくりと進んでいった

いつか来る「その日」に向けて

 それまでの私は、「はじめての猫の飼い方」といった飼育本を事あるごとに頼りにしていた。そうしてぽんたとの暮らしに慣れ、この日常がずっと続くのだろうと思っていた矢先に、「終わり」があることをつきつけられた。この先、どこに気持ちを向けていったらよいかわからず、道標となるものが欲しかった。

 本には、介護や看取りについての実践的な事柄以外に、いずれ別れの日が来ることを常に頭に入れておくことや、病気の宣告を受けた場合に何をすべきか、どのように最期を迎えたいのかを家族で話し合っておく必要性などが書かれていた。

 腎臓病は完治は望めない。だが、ゆっくりと進行していく病気だからこそ、「その日」に向けての覚悟や心構えを整理する時間が持てる。治療も含めて、ぽんたに何をしてあげられるか、自分がどうしたいのかを考えることができる。

 それがわかり、私の心は少し落ち着いた。この本は座右の書となった。

 腎臓病と診断されて2年と8カ月目に入り、一時は持ち直したぽんたの病状が、療法食のミルクを受けつけられないほど悪化した頃、久しぶりにこの本を開いた。

 暗記するほど読んだ文章を目で追いながら私は思った。今、ぽんたにしてやれることは、残りの猫生に寄り添うことだけなのだろうと。

棚の一番下がお気に入りの場所に

 秋が深まると同時に、ぽんたの病状は、ゆっくりと進んでいった。

 2~3日に1回、動物病院へ連れては行ったが、皮下点滴をしても目に見えて回復することはなかった。体重は2.8kgになり、体温も下がってきていた。

 リビングに出てくることはほとんどなくなり、出てきても足取りに元気はなく、ソファに座っていても私のひざにのっていても、どこかしんどそうだった。

 チェストの下に行って窓を見上げることはあったが、飛び乗ることはなくなった。

 尿毒症が進み、鼻水や口のまわりのよだれが目立つようになった。ミルクの飲み方も芳しくなくなり、シリンジを顔に近づけた途端に「シャー」と威嚇されたのを機に、給餌は諦めることにした。

 薬を飲み込むのもつらそうなので、朝晩2回の投薬を、1日1回、血圧を下げる薬のみに減らした。

 洗面所にあるタオルの棚がぽんたのお気に入りの場所となった。朝も昼も夜も、ここでじっとしている時間が増え、トイレと、水を飲みに行くときしか離れなくなった。

 ここは棚の一番下の段で、使わなくなったバスマットが重ねてあり、この上にぽんたは座っていた。やわらかくて居心地がよいのだろう。私は、棚を整理してぽんたがくつろげるようにスペースをつくり、マットの上にはペットシーツを敷いた。

 ぽんたは猫トイレまで歩いて行くのも億劫な様子で、失禁の回数は増えていた。また水を飲みに行っても口をつけず、顔を水に浸すようにしたままじっとする姿をしばしば目にした。

 11月の初旬、ぽんたに軽い引きつけのような症状が出た。病院に連れて行くと体温は35度台で、使い終わった点滴パックを再利用した湯たんぽが支給された。帰宅し、電子レンンジで温めてタオルで巻き、ぽんたのからだにあてる。お気に入りの棚がある洗面所はそろそろ冷えるようになっていたので、ありがたかった。

 この夜は久しぶりにぽんたが私のベッドまでやって来て、顔の近くに丸くなって寝た。

1/2ページ

最終更新:4/5(日) 17:41
sippo

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事