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【RIZIN】ケイプ戦が消滅した扇久保博正が感じていた恐怖と覚悟

4/5(日) 21:49配信

ゴング格闘技

 4月2日の榊原信行CEOによる4.19『RIZIN.22』横浜アリーナ大会中止の会見を受けて、扇久保博正(パラエストラ松戸)が自身のYouTubeチャンネル「おぎちゃんねる」にて、ひとり「緊急会見」を行った。

【写真】ケイプとリング上で握手を交わしていた扇久保

 スーツ姿でカメラの前に登場した扇久保は『RIZIN.22』の中止、ベルトを賭けて対戦予定だったマネル・ケイプのUFC電撃契約、次戦の相手などについて、率直な気持ちを語った。会見後、本誌では扇久保にインタビュー、新型コロナウイルスをめぐるジムの状況など、詳細を聞いた。

 扇久保は、冒頭で「『RIZIN.22』も無くなっちゃったんですよね……」と語り出すと、「(榊原CEOの)記者会見がある直前まで、中止になることを知らなかった」と、衝撃の事実を告白。「ほんとうに追い込んでました。ずっと、冗談抜きで」と、直前まで何らかの試合があるものとして、練習を行ってきたことを明かした。

 3月30日のツイートでは、「毎日濃厚接触して練習してる。僕らは不安で仕方ないです。試合あるかもしれないから追い込みと減量しなきゃならないし……どうなるんだろ」と、新型コロナウイルス感染の恐怖に怯えながらも練習していることを吐露していた。

 大会中止の報は会見前にはマネージメントサイドには届いていたが、「なぜか教えてもらえなくて(苦笑)。優しさ? そうだと思います。ほんとうに追い込んでいた最中だったんで、(そのまま)追い込んでおけ、ということだと思います」と、様々な不安を抱えたなかでの練習の追い込みが終わるまで、緊張感を切らさないために敢えて伝えなかったのだろうと扇久保は語る。

 パラエストラ千葉ネットワーク代表の鶴屋浩氏は、そのときのことをこう振り返る。

「ケイプがUFCに行ってしまうかもしれない、ということは事前に聞きましたが、扇久保が追い込みの最中にそれを伝えることで、迷いが出て気が抜けて怪我などをしてしまわないように、その話はほんとうに発表されるまでは伝えずにいました。ケイプ側から発表があってからも、大会が中止になるとは発表されない。だから『試合があるつもりでいよう』と扇久保とも話し、減量にも入っている厳しい時期のため、RIZINに問い合わせを続けるという状況でした。大会が完全に中止になると聞いたのは直前でしたね」

 榊原CEOの緊急会見の前日4月1日には、ケイプがUFCとの契約を発表。タイトル挑戦が決まっていた扇久保は、「うそーーーーーん笑」と泣き顔の顔文字と一緒にツイート。「まあ仕方ない。絶対いい試合をして、もっとRIZINをUFCより魅力的な団体にしてやる。寝技でお尻を叩きたかった……。ケイプ頑張れ。応援はしないけど。せっかく温めておいたたくさんの雑コラ画像を、すぐ世に放たなかった自分の爆発力のなさに嫌気がさします」と、「応援はしない」と言いつつも「頑張れ」の言葉も記すなど、人の良さを見せていた。

 ケイプのUFCとの契約について扇久保は、会見であらためて「どうなんですかね。大晦日(朝倉海に)勝ったらUFCみたいな話は、あってもおかしくないですよね。UFCはそういう条件を出したりすることもあるので」と、RIZINとの契約最後の試合にケイプが賭けていたのでは、と推測。自身は同日に石渡伸太郎との接戦を制し、挑戦権を獲得していただけに、「正直……ムカつきましたね。(まず自分とやってから行ってくれと?)そうですね。ナンダヨーと思いましたね」と、ケイプの言葉を引用して、不快感を表明した。

 扇久保は2016年に「The Ultimate Fighter」のシーズン24に参加。ジョセフ・ベナビデス率いるチーム・ベナビデスに所属し、フライ級トーナメントでカジムロ・ズル、アダム・アントリン、アレッシャンドリ・パントージャを下して決勝戦に進出。ティム・エリオットには判定負けを喫したものの準優勝となるなど、現UFCフライ級ランカーたちを下していることになる。

 ケイプのUFCでの可能性については、「フライ級でやるそうですね。活躍? どうですかね、打撃は強いですけど……」と印象を語ると、ケイプとの興味深い接点を語ってくれた。

「僕、大晦日、同じ控室で隣りだったんで、ずっと(ケイプがアップするのを)見ていたんですけど、はっきり言って、マジで寝技できないっていうのが見えちゃってたんで。ずっと直前までコーチから寝技を教えてもらっていて“あー、寝技できないんだ”と思っていました。(UFCでは)そこがどうかな、と思います。そんなにデカくもないですし」

 ケイプのアップする動きで穴が見えていたという扇久保。同時に「まあ、やってみなきゃ分からないですけどね。(身体の)バネとかも凄いし、トリッキーなんでやり辛いなとも思っていました」と、身体能力の高さに加え、変則的な動きを警戒していたという。

 今後については、新型コロナウイルスの状況次第となるが、プロ野球やJリーグの再開とともに、RIZINも再始動を目指し、今夏にビッグマッチの実現を目標としている。扇久保の次戦もそこで組まれることになる。

 本誌の取材で榊原CEOは、バンタム級王座決定戦が行われる場合、扇久保を筆頭に、その対戦相手として、ビクター・ヘンリー、パトリック・ミックス、朝倉海の名前を挙げている。扇久保との絡みで言えば、ヘンリーは元谷友貴に判定勝利し、石渡に判定負け。ミックスは元谷に一本勝ちし、MMAで無敗(アマチュア11連勝、プロ13連勝)。海は堀口にTKO勝利し、ケイプとは1勝1敗という状況だ。

 扇久保は次戦について、「誰とやっても盛り上がる」と言い、「やっぱり挑戦が決まってたんで、次の試合は王者決定戦にしてもらえれば嬉しいです」と、ベルトがかかる試合になることを前提とした。

 そのうえで、対戦候補にも言及。2月浜松大会で実力者・金原正徳をTKOに下したヘンリーの印象は、「ずっと前から(日本のMMAにも)出ていて、極めも強いし打撃も強い、タフなイメージ。噛み合うと思います」と語り、続けて、年末にBellatorから来日した無敗の戦士ミックスとの不思議な交流についても明かした。

「大晦日、(さいたまスーパーアリーナ)行きのバスに一人で座ってたら、隣りにパトリック・ミックスが来て、1時間くらい、ずっと2人で喋ってさいたままで行ったので……だから友達ですね」と語ると、会話のなかで得た情報として、「ミックスはデカいですよね。『(試合)当日は70kgある』と言っていたんで」と、身長180cm、リーチでは183cmあるミックスと、本来フライ級である扇久保との体格差について警戒した。

 続けて「話した感じは、僕のことを最初は選手だと思ってなくて。『TUFに出ていた』と言ったら、すごく驚いていました。『見てたよ!』って(苦笑)。どんだけ強いのか分からないです。極めが強い。元谷選手がパッと極められちゃったし。ただ、打撃があまりできないイメージです」と分析し、「たぶん、勝ちますね」と勝算ありとした。

 そして、堀口恭司を倒しケイプとの再戦で敗れている朝倉海については、「打撃がメッチャ強くて、身体能力が高いイメージ」と評価。「いま一番か二番くらいにRIZINで人気がある選手なので、戦えば盛り上がるし、勝てば美味しいですね」と、ヘンリー、ケイプ同様に、「戦えば盛り上がる」相手とした。

 海とは会場で挨拶を交わした際に、「『YouTube、やんないんすか?』って言われました」と、チャンネル開設を勧められたという扇久保。「そのおかげでいまこうしてYouTubeをやっています」と大きな笑顔を見せた。現在「おぎちゃんねる」は登録者千人を超え、扇久保は「目標達成まであと99万8944人です」と、気負うことなく語っている。

 最後にファンに向け、「盛り上がる試合をします。ファンの皆さんのために、頑張って“アゴを削ってやる”んで、期待してください。夏までお待ちください。いい試合をするんで!」と、メッセージを送った扇久保。大晦日には、石渡伸太郎との歴史に残る死闘を制してベルトに手をかけていた、日本MMA界屈指の実力者との、会見後の一問一答は以下の通りだ。

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最終更新:4/6(月) 6:51
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