少子高齢化の課題の一つが労働人口の大幅な減少で、その対策として働き方改革や女性の就業率の引き上げなどが言われてきました。実際、その効果も出始めていることは確かでしょう。
「年代別共働き世帯比率」「共働きと片働きの世帯年収平均」の図表を見る
2019年にフィデリティ退職・投資教育研究所が行ったサラリーマン1万人アンケートでは、既婚で配偶者ありと回答した5,974人のうち、いわゆる共働き世帯は71.0%に達しています。
しかも、図表1のように、5歳刻みで共働き世帯の比率を分析すると、どの年代もほぼ7割の水準に達していることがわかりました。既婚者比率が低い若年層でもその7割が共働きですし、年齢を重ねて7割が既婚配偶者あり世帯となる50代でもその7割が共働きです。
ただ、退職準備という視点からみると、「共働き世帯はあまり資産形成が進んでいない」という懸念点があることは指摘せざるを得ません。
アンケートの結果から平均値を計算してみると、図表2のように、共働き世帯は平均年収が808.2万円と片働きの平均世帯の700.2万円よりも100万円以上多いのですが、世帯資産は1,232.7万円と片働き世帯の1,322.2万円を下回っています。
平均値だけで、断定できない点もありますが、「共働き世帯は、世帯年収が高いのにもかかわらず世帯資産は少ない」という実態が浮き上がってきました。
これはどうしてなのでしょうか。サラリーマン1万人アンケートの項目では、この点に関して十分な分析はできませんが、夫婦がそれぞれに収入を得ているものの、それを十分に共有できないからではないかと推測されます。
すなわち、夫婦は共有すべき生活費に関しては互いに負担していても、残った資金は資産形成よりも自身の生活費に充てることが多いのではないでしょうか。資産形成に関して、夫婦で共同して対応ができていない懸念があるわけです。
その一つの証左として共働き世帯で投資をしている人の比率が低い点を挙げることができそうです。
サラリーマン1万人アンケートで既婚配偶者ありと回答した5,974人のうち、共働き世帯で投資をしている人は38.9%と片働き世帯の45.2%をかなり下回っています(図表2参照)。
もちろん、「資産が少ないから共働き世帯では投資をする人が少ない」と因果関係を逆に考えることもできますが、「年収の多い人ほど投資をしている比率は高くなる」という一般的な傾向からすれば、「共働き世帯はもっと資産形成をする人が多くてもいいはず」です。
どうも投資をしていることは「結果」ではなく、「原因」ではないかと思えます。投資をしている人が少ないことが、共働き世帯の資産が増えていない原因になっているのではないでしょうか。
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野尻 哲史
最終更新:4/5(日) 10:20
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